担々麺は、お店で食べるもの。家で作るなんて難しそう。そう思っていませんか。
芝麻醤(チーマージャン:ごまのペースト)のような、聞き慣れない調味料も出てきます。何をどれだけ混ぜればいいのか、初めてだと迷いますよね。
僕は現役の調理師です。ホテルの中華厨房で働いてきました。厨房では、麺料理のタレをどんぶりに先に作っていました。
この記事では、自宅で作っているスープの配合を、初めての方向けに解説します。どんぶりでタレを合わせ、鶏ガラスープで割る手順です。
味の軸になるのは、比率ひとつ。味付けはどんぶりの中で済むので、初めてでも迷いにくい手順です。
担々麺のスープの核は、芝麻醤3:醤油2の比率で、どんぶりにタレを作ること。
担々麺のスープ|材料と作り方(早見表)

担々麺のスープは、どんぶりでタレを合わせて、鶏ガラスープで割るだけです。タレは火にかけません。
分量は、どんぶり1杯分(1人前)で紹介します。
材料(1人前)

| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 芝麻醤 | 大さじ3 |
| 醤油 | 大さじ2 |
| 酢(米酢) | 小さじ1 |
| 砂糖 | 小さじ1/2 |
| うま味調味料(味の素) | 少々 |
| 鶏ガラスープ | 200cc |
| 葱花(チョンファ:長ねぎの粗みじん切り) | 適量 |
| 搾菜(ザーサイ:茎の漬物。みじん切り) | 適量 |
| ラー油 | 適量 |
| 白ごま | 適量 |
| 中太麺 | 1人前 |
| 肉味噌(炸醤)、ゆでたもやし、ゆでたほうれん草 | 適量 |
- 芝麻醤 大さじ3:醤油 大さじ2
- 酢・砂糖・味の素・葱花・搾菜は、少しずつ足す脇役
重さは調味料ごとに違うので、重さではなく、大さじの量で見てください。
僕が使っているユウキ食品の芝麻醤は、瓶に「ジーマージャン」と書かれています。読み方は商品によって違いますが、同じ芝麻醤です。
芝麻醤は、瓶の上に油が浮いていることがあります。使う前によく混ぜます。
炸醤(ザージャン)は、中華の肉味噌です。この記事では、甜麺醤で作ったものを使います。別に作っておきます。
炸醤の作り方は、担々麺の肉味噌は「醤油1:甜麺醤1:砂糖1」|元中華料理人が賄いで作っていた炸醤の作り方で紹介しています。
鶏ガラスープは、鶏ガラスープの素をお湯に溶かして作ります。素は表示の目安より少し控えめに溶かして、味見で決めます。
味の素の丸鶏がらスープでは、水600mlに小さじ4が目安として公表されています。200ccに換算すると、小さじ1と1/3ほどです。
作り方
もやしとほうれん草は先にゆでておきます。肉味噌も用意しておきます。

- タレを合わせる:どんぶりに、芝麻醤・醤油・酢・砂糖・味の素・葱花・搾菜を入れる
- 溶きのばす:熱い鶏ガラスープを少し注いで、芝麻醤を溶きのばす
- 残りを注ぐ:残りのスープを注ぎ、ゆでた麺と具をのせる
- ラー油をかけて完成
くわしい手順とコツは、このあと順番に解説していきます。
味の骨格は「芝麻醤3:醤油2」

自宅では、味の骨格を芝麻醤と醤油の2つで作っています。比率は芝麻醤3:醤油2です。
酢や砂糖などは、骨格に少しずつ足す脇役です。
芝麻醤のコクを醤油で締める
芝麻醤は、炒ったごまをすりつぶしたペーストです。油を加えて作るものもあります。ごまのコクと香ばしさが、スープの土台になります。
市販品は、置いておくと上に油が浮くことがあります。上の油だけをすくうと、ごまの量が足りなくなります。量る前に、底からよく混ぜてください。
ユウキの芝麻醤は、100gあたり脂質63.9g、食塩相当量0.02g(推定値)と表示されています。
油分が多く、塩気はほとんどないペーストです。

芝麻醤に塩気がほとんどないぶん、醤油が塩味を受け持ちます。
自宅では、この3:2で作っています。芝麻醤が多めなので、ごまのコクが前に出やすい配合です。
僕が使っているのは、ユウキ食品の芝麻醤です。原材料は、いりごまだけです。

通販でも手に入ります。
人数と濃さの調整
人数が増えたときは、タレを倍量で作りません。どんぶりを人数分並べて、1杯ずつタレを合わせます。
どんぶりの中で合わせるので、人数が増えても手順は変わりません。

- どんぶりを人数分並べる
- 各どんぶりに、1人前のタレを合わせる(芝麻醤 大さじ3、醤油 大さじ2、酢 小さじ1、砂糖 小さじ1/2)
- 味の素・葱花・搾菜も、どんぶりごとに入れる
- スープは人数分をまとめて鍋で温め、各どんぶりに注ぐ
濃さを変えたいときも、3:2は崩しません。比率を崩すと、ごまのコクと塩気のバランスが変わるからです。
味見をして物足りなければ、芝麻醤と醤油を3:2のまま、少しずつ足します。酢と砂糖も、レシピと同じ割合で、あわせて少し足します。

3:2だけで、ほんとに味が決まるの?

骨格はこの2つ。ほかは少しずつ足す脇役なんだ
比率で味を決める考え方は、こちらでくわしく解説しています。
【プロが断言】自分で作った料理が美味しくない理由。レシピを捨て「比率」で考える本格中華上達法
脇役の調味料と薬味の役割
芝麻醤と醤油で骨格ができたら、残りの材料で味を整えます。酢・砂糖・味の素・葱花・搾菜は、少量で味を整える脇役です。
入れる目的を知っておくと、好みに合わせて加減できます。
酢・砂糖・味の素で味を整える
3つの調味料は、どれも少量です。入れる目的は、次のとおりです。
| 調味料 | 分量 | 入れる目的 |
|---|---|---|
| 酢(米酢) | 小さじ1 | 後味を軽くする |
| 砂糖 | 小さじ1/2 | 塩味の角をまろやかにする |
| 味の素 | 少々 | うま味を足す |
酢は、入れすぎると酸味が前に出やすくなります。小さじ1の少量で、後味を整える使い方です。
仕上げに少量の酢を入れる料理には、エビチリもあります。【本格エビチリ】下処理が決め手!お店の味を再現するプロ直伝の作り方では、酢で味を引き締めています。
砂糖は、スープを甘くするためではありません。醤油の塩味の角を、丸くするために入れます。
味の素は、うま味を足すために少々入れます。脇役は、味見をしながら少しずつ加減してください。
葱花と搾菜は香りと食感
葱花(チョンファ)は、長ねぎのみじん切りです。担々麺では、粗めに切っています。タレに入れると、ねぎの香りが立ちます。粗めに切ると、食感も残ります。
炒め物に使う葱花は、粒を細かく揃えて切ります。担々麺のタレでは、食感を残すために粗めにしています。葱花の切り方は、長ねぎのみじん切りはこう切る|中華の現場で飛び交う「葱花」の技術と理屈で解説しています。
搾菜(ザーサイ)は、からし菜の仲間の茎の漬物です。塩気とうま味、歯ごたえが加わります。

僕が習った作り方では、搾菜もタレに入れます。どんぶりの中で、葱花といっしょに合わせます。
搾菜には塩気があります。搾菜を入れた分、鶏ガラスープは控えめに溶かします。
スープの濃さの決め方は、割る手順のなかで説明します。
どんぶりで割るのがコツ

担々麺のスープは、鍋でタレを煮込みません。どんぶりの中でタレを合わせ、熱い鶏ガラスープで割ります。
割り方のコツは2つあります。溶きのばす順番と、スープの濃さです。
芝麻醤を分離させない溶き方
分離は、ごまの油が分かれて、表面に浮いてくる状態です。
固いペーストにスープを一気に注ぐと、混ざりにくくなることがあります。そこで、スープはまず少しだけ注ぎます。僕のおすすめの順番です。
- 熱いスープを、少しだけ注ぐ
- 芝麻醤の塊が見えなくなるまで、混ぜる
- 残りのスープを注ぐ


鶏ガラスープの濃さ
鶏ガラスープの素にも、塩分があります。製品によっては、重さの約半分が塩分です(味の素 丸鶏がらスープは約48%)。
担々麺のタレには、醤油と搾菜の塩気があります。素の塩気が重なると、しょっぱくなりがちです。
味の素の丸鶏がらスープの目安から換算すると、200ccで小さじ1と1/3ほどです。この目安より少し控えめに溶かして、味見をします。
素は、足すことはできても、引くことはできません。
僕にも失敗があります。別の中華スープで、鶏ガラスープの素を入れたあと、物足りなくて塩まで足しました。できたのは、ただしょっぱいだけのスープでした。
担々麺でも同じです。物足りなく感じたら、塩は足しません。タレを3:2のまま少し足して、味を見直します。
中華スープでの失敗と、素の塩気については、鶏ガラスープの素の使い方|スープと炒め物で「濃さ」を変えるのがプロのやり方でくわしく書いています。

麺料理のタレは、丼に先に作っておくんだ。スープを注いでから味を探すと、ぶれるんだよ
タレを先に合わせておく段取りは、黒酢あんでも同じです。鍋に入れる前に、タレを作っておきます。
鶏と野菜の黒酢あん|タレは1:1:1。油通しを3つに分けるのがプロの作り方
仕上げと具ののせ方
どんぶりにタレとスープができたら、麺と具をのせて仕上げます。
麺は、スープとは別の鍋でゆでます。麺のゆで湯をスープに混ぜると、味と濁りが変わるためです。

ゆで時間は、麺の袋の表示が目安です。ゆで上がったら、湯をしっかり切ってからどんぶりに入れます。湯が残ると、スープが薄まります。
具は、ほうれん草・もやし・肉味噌の3つです。
- ほうれん草:塩を入れた湯でゆで、緑色を保つために氷水で冷やす。水気を切って、中華包丁で食べやすい長さに切る
- もやし:ゆでて、湯を切る
- 肉味噌:炒め直さず、そのままのせる
肉味噌は、すでに味付けが済んでいます。炒め直さなくて大丈夫です。

麺の上に、もやし・ほうれん草・肉味噌をのせます。白、緑、茶色の3色が並びます。
最後に、ラー油をかけて、白ごまを振ります。
タレには、辛味が入っていません。辛さは、ラー油の量で決まります。
少なめにかけて、足りなければ足してください。

辛いのが苦手でも食べられる?

タレには辛味が入っていないから、ラー油の量で決めればいいよ
ラー油なら、ユウキ食品の激辛四川ラー油はいかがでしょう。花椒(ホアジャオ:中国の山椒)の香りを合わせたラー油で、担々麺らしい風味を足せます。激辛タイプなので、少しずつかけて、辛さを決めてください。
よくある質問
- Q芝麻醤がないときは?
- A
市販の芝麻醤を使うのがおすすめです。この記事の担々麺も、市販品で作っています。通販でも買えます。
練りごまで代用する方法は、一般に紹介されています。僕は練りごまで作ったことがなく、この配合が合うかは分かりません。
手作りもできます。調理の専門学校で、芝麻醤を手作りしたことがあります。白ごまを炒って、すり鉢でつぶし、200℃くらいの油を加えました。
熱い油は、油はねとやけどに注意してください。
- Qスープが分離したら?
- A
溶きのばす順番を守れば、分離しにくいとされています。
それでも油が浮いて分かれたときは、熱いスープを少しずつ足して、よく混ぜてみてください。一度に足すより、なじみやすくなります。
- Q本場の担々麺との違いは?
- A
本場の四川では、汁なしの担々麺が一般的とされています。この記事の担々麺は、タレを鶏ガラスープで割る、汁ありの形です。
本場の成都では、担々麺に「脆臊(ツイサオ)」という肉のトッピングをのせるとされています。担々麺の肉味噌は「醤油1:甜麺醤1:砂糖1」|元中華料理人が賄いで作っていた炸醤の作り方で触れています。
まとめ
担々麺のスープは、どんぶり1つで作れます。押さえるポイントは3つです。
- 味の骨格は、芝麻醤3:醤油2
- 酢・砂糖・味の素・葱花・搾菜は、少量で味を整える脇役
- どんぶりで、スープを少し注いで溶きのばしてから、残りを注ぐ

芝麻醤と醤油だけ覚えればいいなら、私でも作れそう

スープは少し注いで溶いてから。そこだけ守ってね

お店で食べるものだった担々麺が、どんぶり1つで作れます。
まずは1人前から、芝麻醤と醤油を3:2で合わせてみてください。
■ 本格中華を極める3つのロードマップ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
あなたの「もっと上達したい」に合わせて、3つの道を用意しました。
①【🎓理論】失敗しない理屈を学びたい
②【😋実践】プロの味を今すぐ再現したい
③【🔪道具】形から入って、料理の質を底上げする



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