八宝菜で、味がぼやけたり、皿の底に水がたまったりしたことはありませんか。
原因は、調味料の配分が決まっていないことと、具材から出る水分です。生の具材を先にあんへ入れると、煮ている間に水が出て、味が薄まります。
僕は中華の現場を経験し、給食の現場に立つ現役調理師です。
本記事では、醤油・老酒(紹興酒)・砂糖・オイスターソースを「4:3:3:2」で合わせる味付けを解説します。あわせて、あんに先にとろみをつける作り方も紹介します。
比率で覚えれば、人数が変わっても迷いません。具材に先に火を通すので、あんの中で水が出にくくなります。
結論は、味は「4:3:3:2」、とろみは「先に」です。
八宝菜|材料と作り方(早見表)
3〜4人分の八宝菜を、材料と作り方の早見表にまとめました。
味は、醤油・老酒(紹興酒)・砂糖・オイスターソースを合わせて決めます。とろみは、具材を戻す前に先につけます。

材料(3〜4人分)

| 材料 | 分量 | 補足 |
|---|---|---|
| スープ | 300cc | 鶏ガラスープの素を湯に溶いたもの |
| 醤油 | 大さじ2 | |
| 老酒(紹興酒) | 大さじ1.5 | |
| 砂糖 | 大さじ1.5 | |
| オイスターソース | 大さじ1 | |
| 胡椒 | 適量 |
醤油:老酒:砂糖:オイスターソース = 4:3:3:2
スープは醤油の10倍です。醤油が大さじ2なら、スープは300ccになります。
| 材料 | 分量 | 補足 |
|---|---|---|
| 水溶き片栗粉 | 適量 | 計量せず、とろみを見て調整 |
| 胡麻油 | 適量 | 仕上げ用 |
| 葱油(市販品) | 適量 | 長ねぎの香りを移した油。なければ胡麻油だけでも可 |
| 塩を多めに入れた湯 | 適量 | 具材の下ゆで用 |
| 材料 | 分量 | 補足 |
|---|---|---|
| 豚バラ薄切り肉 | 140g | 一口大 |
| 冷凍むきエビ・イカ | 200g | 凍ったまま使う(商品の表示も確認)。スーパーで売っているセット |
| うずらの水煮 | 6個 |
| 材料 | 分量 | 補足 |
|---|---|---|
| 人参 | 1/2本 | 飾り切り(短冊切りでも可) |
| 筍の水煮 | 小1/2 | 縦に薄切り |
| 白菜 | 1/4ほど | 一口大 |
| 干し椎茸 | 6個 | ぬるま湯で柔らかくなるまで戻し、そぎ切り |
家庭で作る八宝菜の具材に、決まりはありません。好きな食材や、冷蔵庫にある食材で試してみてください。
作り方

- 合わせ調味料を作る:
材料をボウルで混ぜます。 - うずらを湯に通す:
サッと通して、脇に置きます。 - 具材を煨(ワイ)する:
煨とは、塩を多めに入れた湯で、サッと下ゆですることです。野菜、肉・魚介の順に、8割ほど火を通してザルへ上げます。 - 合わせ調味料を沸かす:
煨に使った湯を捨て、空いた中華鍋で沸かします。 - 先にとろみをつける:
火を止めて、水溶き片栗粉を入れます。お玉から糸を引くように落ちるのが目安です。 - 具材を戻して煮る:
2〜3分を目安に煮ます。とろみが弱ければ、火を止めて水溶き片栗粉を足し、沸いた状態で1分以上加熱します。 - 胡麻油と葱油を回しかける:
仕上げに回しかけたら、長く火にかけません。 - 盛り付ける:
うずらをのせて完成です。
くわしい手順とコツは、このあと順番に解説していきます。
八宝菜の味付けは黄金比4:3:3:2
八宝菜の味付けは、醤油・老酒(紹興酒)・砂糖・オイスターソースを「4:3:3:2」で合わせるだけです。

今回は「醤油の煮込み」八宝菜
専門学校では、八宝菜を「炒め」と「煮込み」、「塩味」と「醤油味」の4つに分けて習いました。
僕は習うまで、醤油の煮込みしか知りませんでした。炒めの八宝菜があることも、そこで初めて知りました。
| 塩味 | 醤油味 | |
|---|---|---|
| 炒め | 炒めて仕上げる塩味の八宝菜 | 炒めて仕上げる醤油味の八宝菜 |
| 煮込み | スープで煮る塩味の八宝菜 | 【今回】スープで煮る醤油味の八宝菜 |
本記事では、醤油の煮込み八宝菜だけを扱います。
ちなみに「八」には、八種類の食材という意味があります。専門学校でも、そう習いました。
ただ、八種類に限らず、たくさんの材料を使う料理にも使われる言葉です。具材の数に決まりはありません。
今回のレシピも、数えると八種類です。
醤油・老酒・砂糖・オイスターソースの配合
八宝菜の味は、4つの調味料の比率で決まります。並びは「醤油:老酒(紹興酒):砂糖:オイスターソース」です。
| 調味料 | 比率 | 大さじ | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 醤油 | 4 | 2 | 塩味と色 |
| 老酒(紹興酒) | 3 | 1.5 | 香り |
| 砂糖 | 3 | 1.5 | 丸み |
| オイスターソース | 2 | 1 | 旨味 |
大さじに直すと、比率1あたり大さじ0.5です。
役割は、一般的にいわれている内容です。
老酒(紹興酒)と料理酒の違い、代用の考え方は、別の記事で解説しています。
▶紹興酒と料理酒、何が違う?中華の厨房で「酒」といえば紹興酒だった|元中華料理人の使い分け
オイスターソース炒めの「1:1:1:1:1」とは、別の配合です。
1:1:1:1:1の黄金比と、炒め物の型は、こちらにまとめています。
【現役調理師が公開】オイスターソース炒めの黄金比と、二度と味が迷わなくなる中華炒めの型
スープは醤油の10倍
あんの土台には、鶏ガラスープの素を湯に溶いたスープを使います。
鶏ガラスープの素は、用途によって濃さを変えます。考え方は、こちらで紹介しています。
▶鶏ガラスープの素の使い方|スープと炒め物で「濃さ」を変えるのがプロのやり方
分量は、醤油の10倍です。醤油が大さじ2(約30cc)なら、スープは300ccになります。
醤油の量に10をかけるだけなので、人数が変わっても迷いません。

大さじ2に300ccって、ちょっと想像しにくいな

醤油の量に10をかけるだけだよ。増やしても減らしても、同じ計算で決まるんだ
八宝菜が水っぽくなる理由
八宝菜が水っぽくなる主な原因は、具材から出る水分です。

原因は具材から出る水分
多くのレシピでは、炒めた具材にスープと調味料を加え、具材ごととろみをつけます。
具材に火が通りきる前にとろみをつけると、あんの中で煮ている間に、具材から水が出ます。出た水があんに混ざり、味もとろみも薄まります。
八宝菜は、白菜や冷凍の魚介など、加熱すると水が出やすい具材をたくさん使う料理です。
- 1具材をあんの中で煮る
- 2具材から水が出る
- 3あんが薄まり、水っぽくなる

とろみをつけたのに、どうして薄くなっちゃうの?

片栗粉の量は同じなのに、あんに水だけが増えるからだよ
具材を煮る時間が短ければ、あんに出る水も少なくて済みます。そこで、具材に先に火を通しておきます。
煨(ワイ)で先に火を通しておく
先に火を通す方法が、煨(ワイ)です。
煨とは、多めの塩を入れた湯で、具材をサッと下ゆでする作業です。塩を多めに入れるのは、具材に軽く下味をつけるためでもあります。
僕のいた厨房では、この工程をそう呼んでいました。
煨は、本来は長時間煮込む技法を指します。本記事では、現場の呼び方をそのまま使います。
煨と油通しの使い分けは、油通しの記事で詳しく解説しています。
煨では、具材に8割ほど火を通します。先に火を通しておくので、あんの中で煮る時間が短くなり、水が出にくくなります。


八宝菜を成功させる秘訣は、あんの中の工程を『加熱』ではなく『味をなじませる作業』に変えることだよ
下ごしらえ
八宝菜は、具材の種類が多い料理です。煨(ワイ)に入る前に、具材と合わせ調味料を準備しておきます。
具材の切り方
野菜は、厚みと大きさを揃えて切ります。大きさがバラバラだと、火の通りもバラバラになるためです。
| 具材 | 切り方・下ごしらえ |
|---|---|
| 人参 | 飾り切り(短冊切りでも可) |
| 筍の水煮 | 縦に薄切り |
| 白菜 | 一口大 |
| 干し椎茸 | ぬるま湯で柔らかくなるまで戻し、そぎ切り |
| 豚バラ薄切り肉 | 一口大 |
| 冷凍むきエビ・イカ | 凍ったまま使う |


干し椎茸は、ぬるま湯で柔らかくなるまで戻しました。
時間があるときは、低温でゆっくり戻すと、味や香りが出やすいとされています。
干し椎茸は、通販でも手に入ります。軸(じく)をカットしてあるタイプもあります。
合わせ調味料は先に作る
僕のいた厨房では、調味料がすぐ手の届く場所に並んでいました。だから、合わせ調味料は作っていませんでした。
家庭のキッチンでは、調味料がコンロの近くにあるとは限りません。先にボウルで合わせておきます。
具材を煨したら、空いた鍋ですぐに、あんを沸かします。ボウルに合わせてあれば、鍋にまとめて入れるだけです。
材料は、スープ、醤油、老酒(紹興酒)、砂糖、オイスターソース、胡椒です。ボウルに入れ、砂糖が溶けるまで混ぜます。


先に混ぜるの、ちょっと面倒じゃない?

ボウルで混ぜるだけだよ。鍋の前で慌てずに済むんだ
紹興酒には、塩を加えていない飲用タイプと、塩入りの紹興料理酒があります。選ぶときは、ラベルの食塩を確認してください。
先にとろみをつける作り方
具材を煨(ワイ)して、あんに先にとろみをつけます。そのあとに、具材を戻します。

野菜→肉・魚介の順に煨する
中華鍋に湯を沸かし、塩を多めに入れます。
最初に、うずらの水煮をサッと湯に通します。水煮のにおいを取り、温めるためです。取り出したら、脇に置きます。最後にのせます。


うずらだけ、先に湯に通すのはどうして?

水煮のにおいを取って、温めておくんだ。最後にのせるから、ここで済ませるよ
次に、野菜を煨します。人参、筍、白菜、干し椎茸を湯に入れ、8割ほど火を通したらザルに上げます。


続けて、肉と魚介を煨します。豚バラと、凍ったままのエビ・イカを入れ、こちらも8割ほど火を通してザルに上げます。順番は、野菜が先、肉・魚介があとです。

肉と魚介に、漿(チャン)はしません。手軽さを優先しました。漿をすれば、さらに柔らかくなります。
漿(チャン)とは、肉や魚介に塩・卵・片栗粉・油を揉み込む下処理のことです。
漿の手順と、肉と魚介の使い分けは、下処理の記事にまとめています。
火を止めて、先にとろみをつける
煨に使った湯を捨て、空いた中華鍋に合わせ調味料を入れて沸かします。

沸いたら、火を止めます。強火で煮立った鍋は、スープが激しく動いているからです。そこに水溶き片栗粉を入れると、混ざる前に固まって、ダマになります。
火を止めたら、水溶き片栗粉をお玉から少しずつ入れて、混ぜます。量は計らず、あんの状態を見て決めます。

水溶き片栗粉の割合と、ダマにしない入れ方は、こちらで解説しています。
▶水溶き片栗粉の黄金比は1:2|割合・作り方とダマ防止の入れ方を元中華料理人が解説
お玉ですくって落とし、糸を引くように落ちれば、とろみの目安です。

多くのレシピと、順番が違います。僕は、具材を入れる前に、あんだけ先にとろみをつけます。

どうして、具材を入れる前にとろみをつけるの?

具材が多いと混ぜにくくて、ダマになりそうだと思ったんだ。だから、あんだけ先に作る方法を考えたよ
調味料を沸かし、とろみをつけてから、具材を戻します。炒め物でも使う順番を、煮込みの八宝菜に当てはめました。
具材を戻す前に、タレを完成させる型は、青椒肉絲の記事でも使っています。
具材を戻して煮る
具材を、すべて中華鍋に戻します。うずらは、最後にのせるので戻しません。

軽く沸騰した状態で、2〜3分を目安に煮ます。具材の残り2割に火を通しながら、とろみを落ち着かせる時間です。

とろみは、つけた直後だと、まだ仮の状態です。しっかり加熱して、はじめて安定します。
先に具材へ8割火を通しているので、あんの中で煮る時間は短くて済みます。煮物のように長く煮込みません。長く煮込むと、とろみがゆるむことがあります。
- 泡の出方:軽く沸いた状態が続いているか
- あんのツヤ:白っぽさが消えて、ツヤが出ているか
- 白菜のしんなり具合:葉がしんなりしているか
- とろみの重さ:お玉ですくって、重すぎず軽すぎないか

2〜3分って、タイマーで計るの?

僕は時間を計らずに、鍋の様子を見ているよ。4つの様子がそろったころが、火を止める合図だね
とろみが弱ければ、火を止めて、水溶き片栗粉を足します。再び火にかけて、軽く沸騰した状態で、1分以上加熱します。
仕上げの胡麻油と葱油
仕上げに、胡麻油と葱油を、鍋に回しかけます。

葱油は、市販品を使います。
葱油とは、長ねぎの香りを移した油のことです。
僕が使っている葱油は、3本セットのうちの1本です。ほかの2本は、にんにく油と、鶏油(チーユ・鶏の脂の香味油)です。
回しかけたら、長く火にかけません。長く火にかけると、香りが弱くなることがあります。

葱油がないときは、どうするの?

胡麻油だけで大丈夫だよ。葱油は、あれば使う程度でいいんだ

器に盛り、うずらをのせたら完成です。
ご飯にかければ中華丼

八宝菜は、ご飯にかければ中華丼になります。
丼にご飯を盛り、熱い八宝菜をかけます。うずらは、最後にのせます。
中華丼は、日本で考案された料理だと言われています。

めちゃくちゃ美味しい
八宝菜のよくある質問(FAQ)
- Q食べているうちに、とろみが緩くなるのはなぜですか?
- A
食べている途中でとろみが緩むのは、よくある現象です。
口の中で、唾液に含まれるアミラーゼ(でんぷんを分解する消化酵素)が、あんのでんぷんを分解するためです。
- Q冷めると、水っぽくなるのはなぜですか?
- A
原因は、主に3つ考えられます。
- 糊化(こか)したでんぷんは、冷めて時間がたつと、水を放すことがある
- 加熱不足で、とろみが安定していない
- 具材から水が出る
糊化とは、でんぷんが水を吸って膨らみ、とろみが出る状態です。
この記事では、具材を戻して2〜3分煮る間に、とろみを落ち着かせます。具材には先に8割火を通しているので、水も出にくくなります。
- Q八宝菜の具材は、8種類じゃないとだめですか?
- A
決まりはありません。
専門学校では、「八」は八種類の食材の意味だと習いました。ただ、八種類に限らず、たくさんの材料を使う料理にも使われる言葉です。
好きな食材で、試してみてください。
まとめ|味は4:3:3:2、とろみは先に
八宝菜の味付けは、比率で覚えると迷いません。水っぽくならない作り方は、具材の水が出にくいよう先に火を通しておき、あんに先にとろみをつけることです。

- 味は、醤油:老酒(紹興酒):砂糖:オイスターソース=4:3:3:2。スープは醤油の10倍です。
- 水っぽくなる主な原因は、具材から出る水分です。煨(ワイ)で、先に8割火を通しておきます。
- あんに先にとろみをつけて、具材を戻します。2〜3分を目安に煮て、とろみを落ち着かせます。
具材に、決まりはありません。好きな食材や、冷蔵庫にある食材で試してみてください。

比率を覚えて、とろみを先につければ、八宝菜は迷わず作れるよ
味は4:3:3:2、とろみは先に。今夜の八宝菜から、試してみてください。
■ 本格中華を極める3つのロードマップ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
あなたの「もっと上達したい」に合わせて、3つの道を用意しました。
①【🎓理論】失敗しない理屈を学びたい
②【😋実践】プロの味を今すぐ再現したい
③【🔪道具】形から入って、料理の質を底上げする




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