砥石の選び方を現役調理師が解説|番手で迷わない最初の1本【初心者向け】

砥石の選び方を現役調理師が解説。番手で迷わない、最初の1本は中砥石
本記事は、PRを含みます。掲載内容は個人の経験と独自の選定に基づいています。

Amazonで砥石を検索すると、番手の数字だけでもずらりと並んでいませんか。

「とりあえず高いものを」で選ぶと、使いこなせず後悔することもあります。

僕は中華出身で、ホテルの厨房では毎日自分の包丁を研いでいました。今の給食現場では共有の包丁を使うため、研げる人はほとんどいません。だから、まとめて僕が研ぐことも多いんです。

この記事では、砥石の番手の意味と選び方の基準を解説します。読み終える頃には、自分に合う1本を迷わず選べるようになります。

結論からお伝えすると、最初の1本は「中砥石#1000」で十分です。

砥石の番手とは?数字の意味を知ろう

砥石を選ぶとき、まず迷うのが「番手」という数字です。ここでは、番手の意味と、大きな3つの分類を確認しておきましょう。

番手=砥石の粗さを表す数字

かーべ
かーべ

そもそも“番手”って何のこと?

砥石のパッケージには、必ず「#1000」のような数字が書かれています。

この数字が番手です。砥石の表面についた砥粒(とりゅう)の粗さを表しています。砥粒とは、砥石を削る力のもとになる、細かい研磨粒子のことです。

番手は、数字が小さいほど粗く、大きいほど細かくなります。

粗い砥石は削る力が強く、大きな刃こぼれの修理に向いています。細かい砥石は表面を滑らかに整えるので、仕上げに向いています。

番手の覚え方
  • 数字が小さい → 粗い(削る力が強い)
  • 数字が大きい → 細かい(滑らかに仕上げる)

荒砥・中砥・仕上げ砥の3種類

荒砥石・中砥石・仕上げ砥石の3種類を、番手の目安と役割で比較した図解

砥石は、番手によって大きく3つに分類されます。

種類番手の目安役割
荒砥石#180〜600刃こぼれの修理用
中砥石#700〜2000日常の手入れ用
仕上げ砥石#3000〜10000切れ味を極める仕上げ用
※番手の境界は、メーカーによって多少幅があります。
料理長
料理長

#8000を超えるような超仕上げ砥石もあるにはあるけど、家庭ではそこまで気にしなくて大丈夫

超仕上げ砥石は、刃を鏡面のように磨き上げる、こだわりの世界の道具です。家庭の日常使いでは、出番はほとんどありません。

まずは、この3種類のうちどれを選べばいいのかを知ることが大切です。

最初の1本は「中砥石#1000」でいい

日常の手入れに使う中砥石と中華包丁を並べた様子。最初の1本は中砥石だけで足りる

番手の意味が分かったところで、結論からお伝えします。最初に選ぶべき砥石は、中砥石(#1000前後)、たった1本です。

家庭用なら中砥石1本で日常の手入れは足りる

家庭の包丁は、そこまで頻繁に刃こぼれしません。普段の手入れなら、中砥石1本で十分に足ります。

荒砥石は削る力が強い分、刃を大きく削ってしまいます。仕上げ砥石は繊細すぎて、日常の切れ味回復には向いていません。

中砥石は、「削る力」と「整える力」のバランスがちょうどいい番手です。

かーべ
かーべ

じゃあ、最初から何本も買う必要はないんだね

なぜプロも中砥石1本なのか(ホテルの現場経験)

僕がホテル中華の厨房にいたころ、毎日使っていたのも中砥石#1000、この1本だけでした。

ちゃーりー
ちゃーりー

現場でも、これ1本で通用する切れ味は十分作れるよ

ホテルの厨房には、荒砥や仕上げ砥も置いてありました。それでも、日常の手入れで実際に手が伸びるのは、いつも中砥石でした。

今の給食の現場でも、同じことを感じています。

研げる人が少ないので、僕がまとめて研ぐことも多い職場です。それでも、手が伸びるのはやっぱり中砥石でした。

料理長
料理長

一番使うのは中砥石。これで足りない場面のほうが、実は少ないんだよ

中砥石1本を安定して扱えれば、日常の切れ味は十分に保てます。まずはこの1本で、角度を固定することに集中してみてください。

現場でも、主役は中砥石
ホテルの厨房にも、給食の現場にも、荒砥や仕上げ砥はあります。でも、日常の手入れで実際に使うのは、いつも中砥石1本でした。

荒砥・仕上げ砥は「必要になってから」でいい

「他の番手は、まったく不要?」と思うかもしれません。そんなことはありません。

荒砥石は、刃こぼれを直すときに使います。仕上げ砥石は、切れ味をさらに追求したくなったときに足せば十分です。

最初からすべて揃える必要はありません。

まずは中砥石1本を使いこなし、必要性を感じてから、次の番手を検討する。この順番が、遠回りに見えて一番早い道です。

砥石を選ぶときのチェックポイント

番手が決まったら、次は実際に手に取る砥石そのものを見ていきましょう。サイズ・構造・固定のしやすさで、使い心地が大きく変わります。

サイズ(長さ・幅)で選ぶ

中砥石に包丁を斜めに乗せた様子。刃を研ぐのに十分な長さと幅がある

砥石は、小さすぎると研ぎにくくなります。

目安は、長さ20cm前後・幅5〜7cmです。

刃全体を使って研ぐには、砥石にある程度の長さが必要です。

短い砥石だと、刃を何度も往復させる途中で、砥石からはみ出してしまいます。はみ出した部分は研げないので、刃先にムラができます。

ちゃーりー
ちゃーりー

短い砥石で研ごうとすると、手元が忙しくなって角度もブレやすいよ

大きめの砥石なら、刃を一定の角度で滑らせやすくなります。角度を保つことに集中できるので、初心者ほど大きめを選ぶのがおすすめです。

サイズの目安

長さ:20cm前後
幅:5〜7cm

単一砥石か、両面(コンビ)砥石か

砥石には、片面だけの単一タイプと、両面で番手が違うコンビタイプがあります。

コンビ砥石は、例えば片面が中砥石(#1000)、もう片面が仕上げ砥石(#3000)といった組み合わせで売られています。

「1本で2つの番手が使える」という手軽さが、コンビ砥石の魅力です。

ただし、まずは中砥石1本での研ぎに慣れることを優先してください。

コンビ砥石を最初から使うと、つい両面を切り替えたくなり、角度の感覚が安定しづらくなります。

かーべ
かーべ

お得な感じがして、コンビ砥石に惹かれちゃう

料理長
料理長

気持ちは分かるけど、最初は片面だけのシンプルな砥石で十分だよ

慣れてきてから、コンビ砥石や仕上げ砥石を足していく。この順番のほうが、結果的に早く上達します。

大事なのは、砥石が動かないこと

砥石を固定する3つの方法(台付き砥石・ケース・濡れ布巾)を比較した図解

砥石を使うときは、水平を保ちながら固定する必要があります。

研いでいる最中に砥石がずれると、角度が崩れて研ぎムラの原因になります。

固定の方法は、いくつかあります。台付き砥石なら、専用の台にセットしてそのまま置けます。付属のケースが台を兼ねるタイプもあります。台がなくても、濡らした布巾や滑り止めシートの上に置けば、しっかり止まります。

かーべ
かーべ

台がないと、ちゃんと研げないのかと思ってた

ちゃーりー
ちゃーりー

大事なのは台そのものじゃなくて、砥石が動かないことなんだよ。濡れ布巾でも十分止まる

つまり、「台付きかどうか」で選ぶ必要はありません。手元にある方法で、しっかり固定できるかどうかを見てください。

布巾で試してみて、それでも動くのが気になるようなら、別売りの砥石台を足せば十分です。

砥石を固定する3つの方法
  • 台付き砥石 → そのままセットするだけ
  • ケースが台になるタイプ → ケースに乗せて使う
  • 濡れ布巾・滑り止めシート → 台なし砥石はこれで十分

包丁の素材で相性は変わる

ここまでは、砥石そのものの選び方を見てきました。ここからは、研ぐ相手側、つまり包丁の素材との相性に触れておきます。

深く踏み込んだ研ぎ方の手順は、別記事に譲ります。ここでは「素材によって研ぎ感が変わる」という基本だけ押さえておきましょう。

ステンレスと鋼で研ぎ感が違う

ステンレスと鋼の研ぎ感の違い。砥石の上での滑りやすさと吸い付きを比較した図解

包丁の素材は、大きくステンレスと鋼(はがね)に分かれます。

ステンレスは硬く、サビに強いのが特長です。一方で、一般的な鋼材であれば、鋼のほうが砥石に吸い付くような感覚で研ぎやすい傾向があります。

料理長
料理長

鋼は、研いでいて『あ、今刃がついたな』というのが分かりやすいんだ

ステンレスは、鋼に比べて研ぎに時間がかかりやすい素材です。硬く、粘りがあるため、砥石の上で刃が滑りやすくなります。砥石に引っかからないぶん、削れるまでに時間がかかるんです。

ただし、極端に硬いステンレス鋼材(HRC60以上など)は例外もあります。ここでは、一般的な家庭用包丁を前提にお伝えしています。

かーべ
かーべ

うちの包丁がどっちか、パッケージを見てみようかな

研ぎ感の目安(一般的な鋼材の場合)
  • ステンレス:硬くサビに強いが、研ぐのにやや時間がかかる
  • 鋼(はがね):砥石に吸い付くような感覚で研ぎやすい

「砥石に吸い付くような研ぎ感」を一度味わうと、鋼の包丁が欲しくなるかもしれません。プロ御用達の杉本を検討するなら、家庭で失敗しない号数の選び方をこちらでまとめています。

一生モノの杉本。6号・7号の決定的な違いとは?家庭での使いやすさをプロ視点で徹底比較

砥石の素材・製法の違い(人造・セラミック)

砥石側にも、素材による違いがあります。

現在、家庭用として広く流通しているのは、人造砥石です。粒度が均一で、価格も手頃なため、初心者にも扱いやすいのが特長です。

「セラミック砥石」という言葉を目にすることもあります。人造砥石とは別物ではなく、人造砥石を作り方で分類したときの呼び名のひとつです。

ちゃーりー
ちゃーりー

人造かセラミックかで悩む必要はないよ。最初の1本は、番手とサイズだけ見れば大丈夫

天然砥石という選択肢もありますが、産地や採掘状況によって価格が大きく変わり、番手の均一性も人造ほど安定しません。趣味性の高い、上級者向けの選択肢と言えます。

かーべ
かーべ

天然とか聞くと、なんだか良さそうに聞こえちゃう

料理長
料理長

魅力はあるけど、最初の1本には向かないよ。まずは人造砥石で研ぎに慣れるのが先だね

買ったあとに知っておきたいこと

砥石は、買って終わりではありません。長く使うために、知っておきたいポイントが2つあります。

砥石は凹むから「面直し」がいる

砥石が中央から凹んでいく仕組みを3段階で示した図解。凹んだら面直しで平らに戻す

砥石は、使い続けると表面が少しずつ削れていきます。

力がかかりやすい中央から削れるため、砥石の表面はお皿のように凹んでいきます。

凹んだ砥石で研ぐと、刃全体が均一に当たりません。せっかく研いでも、切れ味が戻りにくくなります。

この凹みを平らに戻す作業が、面直し(めんなおし)です。専用の面直し砥石でこすり合わせて、表面をリセットします。

料理長
料理長

研ぐ前と後、両方で面直しをする習慣にしているよ

家庭で毎回そこまでする必要はありません。ただ、表面の凹みが気になってきたら、面直しのタイミングと考えてください。

かーべ
かーべ

面直しって、専用の道具が必要なんだね

面直しのサイン
  • 砥石の中央がへこんで見える
  • 研いでも切れ味が戻りにくい

面直しには、専用のダイヤモンド砥石を1枚用意しておくと安心です。#1000の中砥石を直すなら、#120前後が使いやすい番手です。

ダイヤモンド砥粒で、凹んだ砥石の面を素早く平らに戻せる一枚。#1000の中砥石を面直しするなら、この#120が使いやすい番手です。
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物足りなくなったら仕上げ砥石を足す

中砥石1本に慣れてくると、「もっと鋭い刃にしてみたい」と感じることがあります。

そのタイミングで検討したいのが、仕上げ砥石です。

仕上げ砥石を使うと、刃先がより滑らかに整い、刃の当たりが変わってきます。「切れ味を追求してみたい」という楽しみの世界です。

ただし、中砥石で止めるほうが食材への“掛かり”が残って使いやすい、という考え方もあります。仕上げ砥石は「必須の次の一手」ではなく、選択肢のひとつです。

最初から用意する必要はありません。中砥石での研ぎに慣れてから、必要性を感じたときに足すので十分です。

ちゃーりー
ちゃーりー

道具は、必要になったときに増やせばいい。最初から全部揃えなくて大丈夫だよ

初心者におすすめの中砥石【現役調理師が選ぶ】

ここまでの内容を踏まえて、実際に選ぶならどの砥石がいいのか。最後に、具体的な候補を紹介します。

選ぶ基準は、ここまでお伝えしてきた3点そのままです。

番手は#1000前後(中砥石)、サイズは長さ20cm前後・幅5〜7cm、そして安定して固定できること。

この基準に当てはまるものを、現役調理師の視点で選びました。

ちゃーりー
ちゃーりー

迷ったら、この3つの基準に合うかどうかだけ見てもらえれば大丈夫だよ

選ぶときの3つの基準
  • 番手:#1000前後(中砥石)
  • サイズ:長さ20cm前後・幅5〜7cm
  • 固定:台付き・ケース付き・布巾、どれでもOK

手軽さを重視するなら、シャプトン「刃の黒幕」オレンジ #1000。水に浸ける時間がいらず、思い立ったときにすぐ研げます。付属のケースがそのまま研ぎ台になるので、固定の悩みも1本で解決します。

水に浸ける手間がいらず、思い立ったときにすぐ研げる中砥石。付属のケースがそのまま研ぎ台になるので、固定の悩みも1本で解決します。
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研ぎ感を大事にしたいなら、キング デラックス #1000。やわらかめの研ぎ味で、刃が削れていく感触が指先に伝わります。台は付いていないので、濡れ布巾の上に置いて使ってください。

やわらかめの研ぎ味で、刃が削れていく感触が指先に伝わりやすい定番の中砥石。価格も手頃で、コストパフォーマンスに優れた1本です。
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どちらも、番手・サイズ・固定という3つの基準を満たしています。あとは、好みで選んでもらって大丈夫です。

中砥石#1000が1本あれば、中華包丁も三徳も牛刀もペティナイフも、同じ砥石で研げます。ペティを持っていない方は、こちらもどうぞ。

プロはこう選ぶ。ペティナイフの選び方とおすすめを現役調理師が徹底解説

牛刀も同じです。自宅では、中砥石1本で中華包丁もペティも牛刀も研いでいます。

牛刀のおすすめを現役調理師が解説|給食現場で毎日使うプロのサイズ選び

まとめ|迷ったら中砥石#1000から

砥石選びの3つの基準(番手#1000前後・長さ20cm前後・しっかり固定できること)をまとめた図解

砥石選びは、番手の数字を見ただけで身構えてしまいがちです。

でも、選ぶ基準はシンプルです。最後に、今回のポイントを整理します。

最初の1本は、中砥石(#1000前後)。サイズは長さ20cm前後・幅5〜7cm。あとは、しっかり固定して使うこと。

この3つを満たす1本があれば、日常の手入れには十分対応できます。

料理長
料理長

道具を増やすより、1本を使いこなすことが先だよ。それが、いちばん早く切れ味を安定させる道なんだ

荒砥石や仕上げ砥石、天然砥石やコンビ砥石。魅力的な選択肢はたくさんあります。でも、それらは必要性を感じてから足せば十分です。

まずは中砥石1本を相棒に、角度を固定して研ぐことに集中してみてください。

ちゃーりー
ちゃーりー

僕も、ホテルの厨房でも今の給食現場でも、家でも、結局頼りになるのは中砥石だけだよ

砥石が整ったら、次は実際に包丁を研ぐ手順を見ていきましょう。角度の固定と面直しのコツを、こちらで詳しく解説しています。

プロが教える中華包丁の研ぎ方!初心者でも失敗しない正しい手順を徹底解説

■ 本格中華を極める3つのロードマップ

ここまで読んでいただきありがとうございます!
あなたの「もっと上達したい」に合わせて、3つの道を用意しました。

①【🎓理論】失敗しない理屈を学びたい

②【😋実践】プロの味を今すぐ再現したい

③【🔪道具】形から入って、料理の質を底上げする

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