中華レシピに「老抽」と書かれていて、迷った経験はありませんか。
老酒(紹興酒)と同じものだと思い込んでいる人も少なくありません。
僕自身、老抽王のボトル表記を見て、一瞬迷ったことがあります。
ラベルには「ラオチュウワン」とあり、老酒(ラオチュウ)と読み方がよく似ているためです。
けれど老抽と老酒は、そもそもカテゴリーが違います。
老抽は醤油、老酒は熟成させたお酒です。
僕は元中華料理人です。ホテル中華の厨房を経験し、今は給食の調理現場に立つ現役の調理師です。
この記事では、老抽王の正体、生抽との違い、使い方、購入先までをまとめました。
読み終える頃には、老抽王を迷わず選べるようになります。
老抽王は、味付けよりも色付けのための調味料です。
「老抽王」は老酒(紹興酒)のこと?

老抽王のボトルには、ラベルに小さく「ラオチュウワン」と書かれています。
老抽王という響きだけ聞くと、老酒(紹興酒)を思い浮かべる方もいるかもしれません。

え、これ紹興酒と違うの?名前似てるじゃん
僕も最初は、同じように感じました。
老抽王と老酒は、名前の響きが驚くほど似ています。
けれど老抽王と老酒は、まったく別のカテゴリーの調味料です。
商品ラベルにも「ラオチュウワン」と書かれていた

業務スーパーの棚を見ると、老抽王も生抽王も、読み仮名は「チュウ」でした。
自宅にあるボトルを確認しても、同じく「ラオチュウワン」と印字されています。
辞書的な読み方は「ラオチョウ」ですが、ラベルの表記は「ラオチュウ」です。
日本では老酒を「ラオチュウ」と読むのが一般的です。
ラベルの「ラオチュウワン」と重なって、混同が起きやすくなります。
- 辞書の読み方:ラオチョウ
- ラベルの表記:ラオチュウ
「老酒」と「老抽」は全くの別物

老酒(ラオチュウ)は、紹興酒に代表される、熟成させたお酒です。
老抽(ラオチョウ)は、色の濃い中華醤油です。
老酒と老抽は、読み方が近いだけで、中身も役割もまったく違います。
- 老酒:熟成させたお酒(紹興酒など)
- 老抽:色の濃い中華醤油
老抽王(老抽)とは何か
老抽が醤油だとわかると、次に気になるのはその特徴です。
色・とろみ・味わい、実際に使ってみるとどんな調味料なのか。
僕が実際に手に取って確かめた内容を、ここで紹介します。
色つや・とろみ・まろやかな甘みが特徴

老抽王の原材料は、大豆・食塩・砂糖・小麦です。
普通の醤油と比べて、色の濃さが際立つ調味料です。
実際に小皿へ注いでみると、真っ黒に近い色で、とろみも感じます。
一口舐めてみると、色の濃さのわりに塩辛さは感じず、口当たりはまろやかでした。

色の濃さに驚くけど、味は意外とマイルドなんだよね
- 色:黒に近い濃い色、とろみあり
- 味:塩味は控えめ、ほのかな甘み
この記事で使ったのは、こちらの老抽王です。
味付けよりも「色付け」が主な役割

老抽王は、味を足すというより、色を足すための調味料です。
理由は、色の濃さに対して、塩味も甘みも強くないためです。
少量加えるだけで料理の色は大きく変わりますが、味の変化はわずかです。
老抽王の主な役割は、料理の色を決めることです。
料理の完成度は、味だけでなく、見た目の艶でも決まります。
老抽王は、その艶を作るための調味料です。
- メインの役割:色付け
- 味への影響:控えめ
生抽との違いは「たまり」と「うすくち」で考える

老抽の特徴がわかると、次に浮かぶのが「生抽と何が違うのか」という疑問です。
業務スーパーの棚には、老抽王と生抽王が並んでいます。
2つの違いを、実物の表記から整理します。
老抽と生抽の比較表
業務スーパーの棚では、老抽王に「たまりタイプ」、生抽王に「うすくちタイプ」と表記されています。
老抽はたまりタイプ、生抽はうすくちタイプという分類です。
生抽とは、老抽より色が薄い中華醤油です。
日本の醤油にも、たまり醤油とうすくち醤油があります。
色や塩味の傾向は、この分類と似た部分があります。
ただし、製法や原材料まで同じというわけではありません。
| 項目 | 老抽(たまりタイプ) | 生抽(うすくちタイプ) |
|---|---|---|
| 色 | 黒に近い濃い色 | 薄い茶色 |
| 塩味 | 控えめと言われる | 強めと言われる |
| 主な役割 | 色付け | 味付け |

うすくちのほうが薄味なのかと思ってた

うすくちは色が薄いだけで、塩分は控えめじゃないんだ。日本のうすくち醤油と同じ考え方だよ
代用はできない理由
老抽と生抽は、色も塩分バランスも違います。
どちらかで代用すると、色か塩味のどちらかが崩れやすくなります。
老抽の代わりに生抽だけ使うと、色が薄く仕上がります。
生抽の代わりに老抽だけ使うと、色は濃くなりますが、塩気の主張は弱くなります。
仕上がりを安定させたいときは、レシピ通りに使い分けるのが安全です。

見た目と塩気、どっちも一発で決めたいなら、代用はおすすめしないよ
老抽王の使い方
老抽王の特徴がわかったところで、次は実際の使い方です。
分量の感覚と、代表的な料理での使われ方を紹介します。
少量で色がしっかり入る

老抽王は、ほんの数グラムでも色がはっきり変わります。
入れすぎると、色も味も濃くなりすぎてしまいます。
分量は、料理の量や仕上げたい色合いによって変わります。
最初は少なめに加えて、様子を見ながら調整するのが安全です。
迷ったときは、少なめから始めるのが失敗しないコツです。

僕は最初、少しずつ足しながら色を見て決めてるよ。一気に入れると戻せないからね
- 最初は少量から
- 味と色を見ながら足す
- 入れすぎたら戻せない
代表的な料理での使い方
老抽が使われる代表的な料理の一つが、紅焼肉(ホンシャオロウ)です。
紅焼(ホンシャオ)は、醤油で煮込む調理法を指します。
豚肉を醤油ベースで煮込むことで、艶やかな照りと深い色が生まれます。
老抽は、その色を出すのによく使われる調味料です。
僕自身も、いくつかの料理で老抽王を使っています。

回鍋肉(甜麺醤なし)では、老抽を入れると照りと深みが変わります。
醤油と砂糖をベースにした合わせ調味料に、小さじ1〜2杯を加えるだけです。
入れなくても美味しく仕上がりますが、入れると艶が全然違います。
回鍋肉の下ごしらえや黄金比は、こちらで詳しく解説しています。
▶回鍋肉はなぜ「茹でる」のか?本来の意味とプロの黄金比レシピ【本気シリーズ第3弾】
もうひとつの例が、チョコマーラーカオです。
チョコの脂質だけで生地を黒くすると、膨らみが悪くなってしまいます。

そこで、色付け効果の高い老抽をほんの数グラム加えます。
塩味がまろやかな老抽は、チョコのほろ苦さと結びつき、キャラメルのようなコクが生まれます。
生地の軽さを保ったまま、艶やかなダークブラウンに染まります。

え、デザートに醤油?なんかピンとこないんだけど
隠し味の仕組みや、投入順のコツはこちらにまとめています。
▶チョコ×スパイスの衝撃。僕がホテルの厨房で作り上げた「チョコマーラーカオ」と魔法の生クリーム
| 料理 | 老抽王の使い方 |
|---|---|
| 紅焼肉 | 煮込みに使い、照りと色を出す |
| 回鍋肉(甜麺醤なし) | 合わせ調味料に小さじ1〜2、照りと深みを出す |
| チョコマーラーカオ | 生地に3g、キャラメルのようなコクと色付け |
老抽を使わずに近い色とコクを出す方法もあります。上海焼きそばで、その技を詳しく解説しています。
上海焼きそばをホテルの味に。プロが教える「比率」と「火入れ」の絶対法則
買う前に知っておきたいこと
老抽王の特徴・使い方がわかったところで、次は購入前に知っておきたい情報です。
実物の印象、保存方法、他ブランドとの違いをまとめます。
業務スーパーで買った実物レポート

老抽王は、業務スーパーで手に入ります。
500mlのガラス瓶入りで、輸入者は株式会社神戸物産です。
業務スーパーを展開している会社です。
棚には、老抽王と生抽王が並んで置かれていました。
たまりタイプ・うすくちタイプという表記も、その場で確認できます。
実際に手に取ってみると、瓶はずっしりと重みを感じます。
注ぐときは、とろみのある液体がゆっくりと落ちてきました。
業務スーパーで買った実物レポート
- 内容量:500ml
- 容器:ガラス瓶
- 輸入者:株式会社神戸物産
生抽や鎮江香醋も気になる方には、3点セットもあります。
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保存方法

保存方法は、ラベルに明記されています。
直射日光と高温多湿を避けて、常温で保存するのが基本です。
冷蔵庫に入れる必要はありません。
常温の戸棚などで保管できます。
ただし、ブランドによっては開封後の冷蔵をすすめるものもあります。
ラベル表示を確認してください。
他ブランドとの違い
老抽には、海天以外にもいくつかのブランドがあります。
代表的なのが、珠江橋牌・李錦記・廣祥泰です。
商品名は「老抽王」「草菇老抽」など、ブランドごとに違います。
僕自身は、これらのブランドを試したことはありません。
今回は、実際に使った海天の老抽王を基準に紹介しています。
パッケージや価格帯は、ブランドごとに違いがあるようです。
気になる方は、店頭や通販で見比べてみるのも良さそうです。
このブログで使用したのは、海天の老抽王です。
他ブランドは未使用のため、味の比較はできません。
珠江橋牌は1958年創業の老舗ブランドです。老抽王も定番の一本です。
名前だけでは使い道が浮かびにくい調味料は、老抽だけではありません。
鎮江香醋の使い方|1本置くだけで家の中華が変わる調味料を元中華料理人が解説
まとめ
老抽王は、老酒(紹興酒)とは全くの別物です。
読み方が似ているだけで、中身も役割も違います。
ここまでのポイントを整理します。
- 老抽王は醤油、老酒は熟成させたお酒
- 色は濃いが、塩味はまろやか
- 生抽(うすくちタイプ)との代用はおすすめしない
- 少量で色が入るため、入れすぎに注意
- 業務スーパーでも購入でき、常温保存でOK
老抽王は、味付けよりも色付けのための調味料です。
このポイントを押さえておけば、迷わず使いこなせます。
■ 本格中華を極める3つのロードマップ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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