家で黒酢あんを作ると、食感がそろわないことはありませんか。
じゃがいもの中心が硬い。なすは崩れている。れんこんだけがシャキッとしない。
同じ皿の中で、火の通り方がバラバラになってしまう。
原因は、野菜を全部同じ扱いにしていることです。
火の通り方が違う野菜を、まとめて火にかけている。原因に気づかないと、何度作っても同じ結果になります。
タレも同じです。目分量で足していくと、味が毎回変わります。
僕は元中華料理人です。ホテルの厨房では、黒酢だれを仕込んでいました。
この記事では、黒酢だれの比率と、野菜を3つに分ける下ごしらえをまとめました。鶏の揚げ方と、とろみのつけ方まで分かります。
読み終えるころには、毎回同じ味と同じ食感で作れるようになるはずです。
先に結論から。タレは1:1:1。野菜は火の通り方で3つに分けます。
鶏と野菜の黒酢あん|材料と作り方(早見表)

まず、材料と作り方を先にまとめておきます。
作りながら確認したい方は、ここを見返してください。
材料(4人分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 鶏もも肉 | 2枚 |
| めんつゆ(濃縮タイプ) | 目分量(今回は4倍濃縮を使用) |
| 生姜(チューブ) | 目分量 |
| にんにく(チューブ) | 目分量 |
| 小麦粉(衣用) | 片栗粉と同量 |
| 片栗粉(衣用) | 小麦粉と同量 |
| サラダ油(揚げ用) | 適量 |
| いんげん | 8本 |
| れんこん(水煮) | 110g |
| なす | 2本 |
| じゃがいも | 小2個 |
| 人参 | 小1本 |
| 玉ねぎ | 1/2個 |
黒酢だれの黄金比
鎮江香醋:スープ:砂糖=1:1:1
例)4人分の目安 鎮江香醋 大さじ5:スープ 大さじ5:砂糖 大さじ5
+塩少々
※スープは鶏がらスープの素を表示通りに溶いたもの
水溶き片栗粉:別途、片栗粉と水を溶いておく(とろみをつける直前に使用)
作り方
- 鶏を一口大に切り、めんつゆ・生姜・にんにくと一緒にポリ袋でもみ込む(30秒〜1分)
- 野菜を切り、火の通り方で3グループに分ける(①人参・じゃがいも/②いんげん・玉ねぎ・れんこん/③なす)
- 黒酢だれの調味料を合わせておく
- 油でグループ①→②→③の順に野菜を油通しする
- 鶏に衣(小麦粉:片栗粉=1:1)をまぶし、一度揚げ(160〜170℃)
- 鶏を二度揚げ(180〜190℃)でカリッと仕上げる
- 黒酢だれを鍋でしっかり沸かし、一度火を止めて水溶き片栗粉でとろみをつける。再び火にかけ、ツヤが出るまで加熱する
- 野菜・鶏を鍋に戻し、たれを絡めたら完成
くわしい手順とコツは、このあと順番に解説していきます。
黒酢あんが決まらないのは、野菜の火入れが原因

黒酢あんは、味付けよりも先につまずくところがあります。
野菜の火入れです。
家で作ってみると、こんなことが起きていませんか。
- じゃがいもの中心が硬い。噛むと粉っぽい
- なすが崩れて、形が残らない
- れんこんがシャキッとせず、ぼんやりした食感になる
- いんげんの色がくすんで、鮮やかさが消える
同じ皿の中で、火の入り方がそろわない。
一つひとつはおいしいのに、全体として「決まらない」味になります。

野菜って、まとめて炒めるものだと思ってた
原因は、はっきりしています。
火の通り方が違う野菜を、同じタイミングで火にかけていることです。
じゃがいもと人参は、中心まで火が入るのに時間がかかります。
なすは、逆です。あっという間に火が通り、放っておくと崩れます。
れんこんといんげんは、その中間。長く火にかけると、持ち味の歯ざわりが消えます。
性質の違う野菜を、一度に鍋へ入れる。それで食感がそろうほうが不思議です。
野菜は、火の通り方でグループを分けてから火にかけます。
分けるといっても、難しい作業ではありません。3つに分けるだけです。

厨房でも、火の通り方が違う野菜を同じタイミングでは入れないよ。入れる順番が決まっているんだ
タレも同じです。
黒酢あんの味が毎回変わるのは、鍋の中で調味料を足しているからです。
先に合わせておけば、味はブレません。
この記事の答え
- タレは鎮江香醋:スープ:砂糖=1:1:1。醤油もみりんも使わない
- 野菜は火の通り方で3つに分け、順番に油へ通す
- 鶏は最後に揚げる
ここから、それぞれを順番に見ていきます。
黒酢だれの黄金比は1:1:1。醤油もみりんも使わない
黒酢だれの黄金比は、鎮江香醋・スープ・砂糖を同じ量にするだけです。
鎮江香醋・スープ・砂糖を同量。それだけ

黒酢だれに使う調味料は、3つだけです。
鎮江香醋、スープ、砂糖を、同じ量で合わせます。
黒酢だれの黄金比
鎮江香醋:スープ:砂糖=1:1:1
例)4人分の目安 鎮江香醋 大さじ5:スープ 大さじ5:砂糖 大さじ5
+塩少々
スープは、鶏がらスープの素をパッケージの表示どおりに溶いたものです。
厳密に量らなくても大丈夫です。
仕上げに、塩を少々加えます。
この分量でも、具材全体にしっかり絡みます。
もう少し濃いめが好みなら、大さじ6〜7に増やしても構いません。

全部同じ量でいいから、覚えやすいでしょ。分量を量る手間も減るんだ
グラムではなく比率で味を決める考え方は、こちらにまとめています。
【プロが断言】自分で作った料理が美味しくない理由。レシピを捨て「比率」で考える本格中華上達法
なぜ醤油を入れないのか
一般的な黒酢あんのレシピには、醤油やみりんが入っていることが多いです。
僕は、醤油もみりんも入れません。
鎮江香醋そのものに、醤油に近い香ばしさがあるからです。
そこに醤油を足すと、香りが重なりすぎると感じています。
みりんの甘みも、砂糖だけで十分だと考えています。
これは僕の好みです。醤油を足したい方は、加えても問題ありません。
黒酢は鎮江香醋を使う

この黒酢だれに使う黒酢は、鎮江香醋です。
中国江蘇省で作られる、もち米と小麦ふすまが原料の黒酢です。
米酢や日本の黒酢とは、香りも色も別物です。
同じ「酢」でも置き換えると、仕上がりが変わります。
鎮江香醋はこちらで購入できます。
鎮江香醋そのものの味と香り、買える場所は、こちらにまとめています。
鎮江香醋の使い方|1本置くだけで家の中華が変わる調味料を元中華料理人が解説
タレは先に合わせておく
黒酢だれは、炒めながら調味料を足していきません。
鍋に入れる前に、合わせ調味料として作っておきます。
味が毎回同じになるのは、先に合わせておくからです。
作り置きのメリット
- 味が毎回ブレない
- 調理中に迷わない
- ホテルの厨房でも作り置きしていた

タレは先に完成させておくものなんだよ。鍋の中で味を決めるものじゃないんだ
野菜は火の通り方で3つに分ける
野菜は、火の通り方で3つのグループに分けます。
分けたグループを、順番に油へくぐらせます。これが油通しです。
3つのグループに分ける
分け方は、難しくありません。火が通るまでの時間で分けるだけです。
- 人参・じゃがいも → 低めの温度から、じっくり
- いんげん・玉ねぎ・れんこん(水煮) → さっと
- なす → 火を上げて、高温で
このレシピは4人分です。いんげん8本・れんこん水煮110g・なす2本・じゃがいも小2個・人参小1本・玉ねぎ半分を使います。
れんこんは水煮を使います。生のれんこんを使う場合は、火が通りにくいのでグループ①に入れてください。
なぜ分けると食感が揃うのか



野菜の油通しは、高温で一気に通すのが基本です。
ただし人参とじゃがいもだけは、例外だと考えています。
人参とじゃがいもは、中心まで火が入るのに時間がかかる野菜です。
低めの温度からじっくり火を入れることで、外側が焦げる前に中心まで熱が届きます。
いんげん・玉ねぎ・れんこんは、その中間です。さっと火を通す程度で十分火が入ります。
れんこんの水煮は、下茹でされた状態で売られています。油通しは食感を出すための工程で、火を通すためではありません。

水煮なのに油通しするの?

油をくぐらせるのは、シャキッとした食感を出すためなんだ
なすだけは高温で、短時間で

なすは、他の野菜と性質が違います。
火の通りが早く、長く火にかけると崩れます。
なすだけは、火を上げて短時間で仕上げます。
もうひとつ、なすには気をつけたい点があります。
なすは、水にさらしません。
なすの皮の色は、ナスニン(なすの皮に含まれる紫色の色素)によるものです。ナスニンは水に溶けやすい性質があります。水にさらすと、色が抜けやすくなります。
すぐに油で揚げるなら、さらす必要はありません。
切ってすぐ高温の油に入れれば、断面が空気に触れる時間が短く、変色も気になりません。

なすは水にさらさなくていいよ。すぐ揚げるなら、そのままでいい。切ったらすぐ油に入れる。それだけで十分きれいな色に仕上がるんだ
温度計は使わない。色と煙で見極める



火加減は、温度計では確認しません。
油から立つ煙の量と、野菜の色で判断します。
- グループ①:白い煙がうっすら立ち始めたら投入
- グループ②:煙が少し増えたタイミングでさっと
- グループ③(なす):煙がしっかり立つ高温で、短時間
火加減は、途中で調整しながら段階的に上げていきます。
最初から強火にすると、グループ①の野菜は表面だけ焦げて、中心が生のままになります。
油通しは、鶏を揚げるついでにやればいい
油通しと聞くと、手間が増えると思うかもしれません。
でも、この工程のために鍋をもう一つ用意する必要はありません。
油はもう温まっている
鶏を揚げるとき、油はすでに鍋の中で温まっています。
野菜のために、もう一度油を用意する必要はありません。同じ油をそのまま使います。
順番は、野菜が先、鶏が最後です。
鶏には下味がついています。先に鶏を揚げると、下味が油に溶け出します。
野菜を先に通しておけば、きれいな油で油通しができます。油の汚れ方もゆるやかになります。

油通しって聞くと身構えるかもしれないけど、鶏を揚げるついでにできることなんだ。手間が増えるわけじゃないんだよ
揚げる順番で油の汚れ方が変わる話は、揚げ油の再利用、何回まで使える?プロが教える管理・保存・交換の判断基準でまとめています。
酢豚など、他の中華料理では鶏や豚を先に揚げることもあります。この記事では、野菜を先にする点が異なります。
肉を先に揚げる場合の油の扱いは、「古老肉」の読み方と意味|プロ直伝・酢豚の衣とタレの黄金比で解説しています。
油を使いたくないなら「煨(ワイ)」でもいい
油を使う工程を減らしたい場合は、別の方法もあります。
煨(ワイ)とは
多めの塩を入れた湯に、食材をさっとくぐらせる下ごしらえの方法。
中華料理では、湯にくぐらせる技法を焯水(チャオシュイ)や飛水(フェイシュイ)と呼びます。
「煨」は本来、弱火で長時間煮込む調理法を指す別の言葉です。
ただしホテルの厨房では、この塩茹での工程を「煨する」と呼んでいました。
当ブログでも、現場の呼び方をそのまま使っています。
なす以外の野菜は、煨でも仕上げられます。
油をケチるための代わりではなく、もともと別の下ごしらえとして使われてきた方法です。
なすだけは、油の方が向いています。ナスニンは水に溶けやすいため、湯にくぐらせると色が抜けやすくなります。油なら、色がきれいに残ります。

油を使いたくない日は、煨でもいいんだよ。ただなすだけは、油の方がきれいに仕上がる
油通しか、煨か。その日の気分や、洗い物の量で選んでみてください。

今回のレシピは、全部油通しで作ったよ。鶏を揚げるついでだったからね
油通しと煨の使い分け、家庭でそろえたい道具と段取りは、こちらで詳しく解説しています。
家庭で本格的な油通しはできる。ホテル中華出身の調理師が「なぜ」から解説する
鶏を揚げて、絡めるまで
野菜の下ごしらえが終わったら、鶏を揚げていきます。
下味はめんつゆ。もみ込めば漬け込まなくていい
鶏もも肉2枚を、一口大に切ります。
ポリ袋に、鶏・めんつゆ・チューブの生姜・チューブのにんにくを入れます。
めんつゆは、濃縮タイプであれば種類にこだわりません。今回は4倍濃縮を使いました。
30秒から1分、袋の上からもみ込みます。

止めるタイミングは、時間より状態で見極めます。
- 肉全体が、めんつゆの色に染まっている
- 袋の底に、液が残っていない

漬け込む時間は、別で取らなくていいの?

もみ込めば、漬け込みは必要ないんだ。もみ込んだら、そのまますぐ使うよ

しっかりもみ込むことで、味が肉の内部まで入りやすくなります。
めんつゆのような塩分の強い調味液は、長く漬け込むと肉が硬くなりやすいと言われています。
塩分が肉の水分を引き出してしまうためです。
分量は、目分量で問題ありません。厳密に量る必要はないと考えています。
衣は小麦粉1:片栗粉1

もみ込んだ鶏に、衣をまぶします。
小麦粉と片栗粉を、同じ量で合わせます。
小麦粉だけだと、揚げたてはカリッとしますが、冷めるとしっとりしてきます。
片栗粉だけだと、肉に絡みにくく、衣が厚ぼったくなりやすいです。
同じ量で合わせることで、冷めてもカリッとした食感が続きます。

衣は小麦粉と片栗粉を半々にするんだ。片方だけだと、どちらかに寄りすぎてしまうよ
1回目は低温でじっくり、2回目は高温でカリッと
鶏は、二度揚げで仕上げます。
- 1回目(下揚げ):160〜170℃
- 2回目(二度揚げ):180〜190℃
1回目は、中まで火を通すことが目的です。低めの温度で、じっくり揚げます。

2回目は、表面をカリッとさせることが目的です。高めの温度で、短時間仕上げます。
一度揚げだけで済ませる作り方もありますが、最後に高温を通すことで、外はカリッと、中はジューシーに仕上がります。

量が多い場合は、1回目を数回に分けて揚げます。一度に鍋へ入れすぎると、油の温度が急激に下がるためです。温度が下がった油で揚げると、衣がべたついた仕上がりになります。

一度揚げだけじゃダメなの?

ダメじゃないよ。ただ、最後に高温を通すと皮の食感が全然変わるんだ
同じ温度帯で二度揚げする鶏料理に、油淋鶏があります。タレの黄金比と鶏の下ごしらえは、油淋鶏のタレはこの黄金比で決まる|ホテル厨房で使い続けた本格ネギだれにまとめています。
水溶き片栗粉は、別に溶いて後から入れる

タレにとろみをつける工程です。
水溶き片栗粉は、タレとは別に溶いておきます。
黒酢だれを鍋で温め、しっかり沸かします。
一度火を止めてから、水溶き片栗粉を少しずつ加えます。

火を止めると鍋の中の動きが落ち着き、ダマになりにくくなります。
タレに最初から片栗粉を混ぜておく方法もありますが、この記事では別に溶いたものを後から加える作り方をとります。

タレをしっかり沸かして、一度火を止めてから加えるんだ。とろみのつき方が均一になるよ
混ぜ終わったら、もう一度火にかけます。
透明感とツヤが出たら、次の工程に進む合図です。
片栗粉と水の割合、ダマにならない入れ方は、こちらにまとめています。
水溶き片栗粉の黄金比は1:2|割合・作り方とダマ防止の入れ方を元中華料理人が解説
炒めるのではなく、絡める

最後の工程です。
とろみのついた黒酢だれの鍋に、油通しした野菜と揚げた鶏を戻します。
炒めるのではなく、全体にたれを絡めるイメージです。
強く混ぜすぎると、鶏の衣が崩れたり、野菜の形が崩れたりします。
鍋を揺すりながら、たれが全体に行き渡ったら完成です。


最後は炒めるんじゃなくて、絡めるんだよ。鍋を振って、たれをまとわせる感覚だね
野菜の組み合わせについて
野菜の組み合わせについて、少しだけ触れておきます。
いんげん・れんこん・なす・じゃがいも・人参・玉ねぎ。
野菜6品目の顔ぶれは、大戸屋の黒酢あんを参考にしました。
大戸屋の味をそのままなぞろうとしたわけではありません。
参考にしたのは、あくまで野菜の組み合わせです。

僕もお店の味をそっくりそのまま目指して作ったわけじゃないんだ。参考にして、自分の経験をかけ合わせて作った。それがこのレシピだよ
野菜の選び方は、大戸屋の公式YouTubeで紹介されていた内容を参考にしています。
動画では、野菜の切り方や下ごしらえの流れも確認できます。
大戸屋の公式サイトでは、店舗のメニューやこだわりも紹介されています。

これ、お店で食べるやつだね

野菜の組み合わせは近いけど、タレも下ごしらえも僕なりのやり方だよ
まとめ|タレは1:1:1、野菜は3つに分ける

黒酢あんが決まらない原因は、野菜の火入れにありました。
最後に、この記事のポイントを整理します。
- タレは鎮江香醋:スープ:砂糖=1:1:1。醤油もみりんも使わない
- 野菜は火の通り方で3つのグループに分け、順番に油通しする
- なすだけは高温・短時間、水にさらさない
- 鶏は最後に揚げる。二度揚げで外はカリッと、中はジューシーに
- 水溶き片栗粉は別に溶き、一度火を止めてから後入れする
タレの比率さえ覚えておけば、分量を増やしても味はブレません。
野菜も、性質ごとに3つへ分けるだけです。難しい判断は必要ありません。
我が家では、5歳と3歳の子どもも一緒に食べました。辛みも刺激もない味付けなので、家族みんなで囲める一皿になったと思います。

野菜がゴロゴロ入ってるのに、子どもたちもパクパク食べてたね

タレの比率と、野菜の分け方さえ覚えておけば、いつでも同じ味で作れるよ。ぜひ試してみてね
■ 本格中華を極める3つのロードマップ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
あなたの「もっと上達したい」に合わせて、3つの道を用意しました。
①【🎓理論】失敗しない理屈を学びたい
②【😋実践】プロの味を今すぐ再現したい
③【🔪道具】形から入って、料理の質を底上げする







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