中華料理の本でおすすめを探していて、選択肢の多さに迷っていませんか。
書店に並ぶ多くは、「中華鍋不要」「簡単時短」を謳う家庭向けの入門書です。手に取りやすい一方、専門用語や仕組みまで踏み込んだ本には、なかなか出会えません。
こんにちは、ちゃーりーです。僕はホテル中華の厨房で腕を磨いた元中華料理人で、現役の調理師として厨房に立っています。新卒で右も左も分からなかった頃に買った1冊と、後から買い足した1冊。今も手放せない2冊です。
この記事では、僕が今も読み返しているプロ向けの専門書2冊を、それぞれの特徴と使い分け方とあわせて紹介します。読み終える頃には、プロがどんな基準で本を選び、現場でどう活かしているかが分かるはずです。
ただし先にお伝えします。この2冊は、家庭向けの入門書ではありません。中華の沼にハマった人のための、専門書です。
この2冊は「家庭向け」の本ではありません

まず、正直にお伝えします。
この記事で紹介する2冊は、家庭向けの入門書ではありません。プロ向けの専門書です。「今日のおかずを手早く作りたい」方には、正直あまり向いていません。

専門書かぁ……私には難しそう

実際、難しいよ。僕も最初はそうだった
僕が初めて中国料理の専門書を開いたのは、新卒で入社してすぐの頃でした。
ページをめくると、見たことのない専門用語がずらりと並んでいます。正直、頭が追いつきませんでした。
それでも読み進めたのは、単純に中国料理が好きだったからです。1ページ理解するごとに、料理の見え方が少しずつ変わっていきました。
難しかったけれど、勉強になったし、面白かったです。今でも、そう感じています。
この記事は、「中華の沼」にハマった人に向けて書いています。
今日の献立をパッと決めたいだけの方には、他の入門書のほうが向いています。中華料理をもっと体系的に理解したい。専門用語や仕組みまで踏み込みたい。そう思った方にだけ、この2冊はきっと力になります。
向いている人
- 中華料理を体系的に理解したい方
- 専門用語や仕組みまで踏み込みたい方
- 「中華の沼」にハマりつつある方
向いていない人
- 今すぐ家庭で簡単に作れるレシピだけが欲しい方
- 中華鍋を使わずに手軽に作りたい方
なぜこの2冊を選んだのか
専門学校の教材だけで十分なら、わざわざ本を買い足す必要はありません。
それでも僕は、自分の判断でこの2冊を選びました。教材だけでは埋まらない部分が、現場に出てから見えてきたからです。
専門学校の教材とは別に、自分で買い足した理由

専門学校時代、教材として使っていた教科書はもちろんありました。
でも、それだけでは足りないと感じたんです。
きっかけは、現場に出てからでした。ホテルの厨房では、広東語や専門用語が飛び交います。「チャン」「ワイ」と言われても、最初は意味が分かりませんでした。

専門学校で勉強したのに、それでも足りなかったんだね

教科書で覚えた知識と、現場の言葉がうまく繋がらなかったんだよね
専門学校の教科書だけでは、現場の言葉に追いつけなかった。
このズレを埋めたくて、教材とは別に自分で本を買い足しました。それが、今回紹介する2冊です。
2冊の著者、実は同じ専門学校とつながっていた

買い足した後で、気づいたことがあります。
2冊とも、辻調理師専門学校に縁のある方が書いていたんです。
| 書籍 | 著者 | 辻調理師専門学校との関わり |
|---|---|---|
| 『よくわかる中国料理基礎の基礎』 | 吉岡勝美 | 中国料理技術顧問(本書刊行時は中国料理主任教授) |
| 『新版 プロのためのわかりやすい中国料理』 | 松本秀夫 | 元・中国料理主任教授/中国料理研究室との共著 |
僕自身は、辻調理師専門学校の出身ではありません。
自分で選んだ2冊が、たまたま同じ専門学校とつながっていた。それだけの偶然です。
ただ、看板を意識せずに選んだ2冊が、同じところに行き着いた。それだけ、それぞれの本の信頼度が高いとも言えます。

専門学校の看板を気にして選んだわけじゃないのに、同じところに行き着く。それだけ実力がある証拠なんだよ
1冊目『よくわかる中国料理基礎の基礎』

紹介するのは、吉岡勝美さんの『よくわかる中国料理基礎の基礎』です。新卒の頃に買った、最初の1冊でもあります。以降、この記事では『基礎の基礎』と呼びます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 吉岡勝美(辻調理師専門学校 中国料理技術顧問) |
| 出版社 | 柴田書店 |
| 発売日 | 2007年4月 |
| ページ数 | 272ページ |
| 価格 | ¥6,160(税込・執筆時点) |
※価格は執筆時点(2026年8月)の目安です。購入前に最新の価格をご確認ください。
調理法別の章立てと、僕がよく開くページ

本書の目次は、料理名ではなく調理法ごとに章が分かれています。
- 基本の動作
- 下準備と仕上げ
- 基本の調理(炒・炸・煎・焼烤・蒸・煮・焼・拌・抜絲・凍)
- 点心

炒とか炸とか、漢字だけだと何の調理法か分からないよ

最初はそう思うよね。炒は炒め物、炸は揚げ物、煎は少ない油で焼きつける調理法。読み進めるうちに自然と覚えていくよ
漢字だけでは分かりにくくても、調理法別に章が分かれているのは理にかなっています。同じ調理法なら、食材が違っても仕組みが共通しているからです。
僕がよく開くのは、「基本の動作」「下準備と仕上げ」「基本の調理」の3パートです。
ホテル中華時代、賄いのメニューを考えるときによく開いたのが「基本の調理」のページでした。専門学校では学びきれなかった、中華の基本を補う場所になっていました。
広東料理・点心に強い一冊

Web上のレビューでは、本書は広東料理と点心の記述が特に手厚いと言われています。失敗しやすいポイントと、その理由まで解説されているという声も見かけます。
この評価はWeb上のレビューに基づく一般的な傾向であり、僕自身が全項目を検証したものではありません。参考情報としてご覧ください。
僕自身はホテル中華(広東料理)出身のため、広東料理・点心のパートは実感を持って読める部分が多いです。ただ、他の地方料理と比べて厳密に検証したわけではないので、断定はしません。
気になった方は、こちらから購入できます。
2冊目『新版 プロのためのわかりやすい中国料理』

『基礎の基礎』で調理法の基本を押さえたら、次に開いてほしいのがこの本、松本秀夫さんの『新版 プロのためのわかりやすい中国料理』です。以降、この記事では『プロのための中国料理』と呼びます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 松本秀夫、辻調理師専門学校中国料理研究室 |
| 出版社 | 柴田書店 |
| 発売日 | 2010年11月(原版は1998年刊) |
| 判型・ページ数 | B5判・352ページ |
| 価格 | ¥5,280(税込・執筆時点) |
料理ジャンル別の構成で、地方料理を横断できる

『基礎の基礎』が調理法別だったのに対し、『プロのための中国料理』は料理ジャンル別に章が分かれています。
- 乾貨(かんか:乾物)
- 冷菜
- 炒菜
- 炸菜
- 焼烤
- 焼菜
- 蒸菜
- 湯菜
- 火鍋
- 麺飯
- 甜菜
- 点心

章の数、1冊目よりずっと多いね

料理ジャンルで分かれているから、その分細かく章立てされているんだ
版元の紹介では、広東料理を中心に、四川・上海など複数の地方料理を扱う本として案内されています。1冊で複数の地方料理を横断できるのは、この本ならではの強みです。
1冊目よりさらに専門的な内容

この本には、フカヒレ・干しアワビ・スッポン・ツバメの巣といった高級食材を使った料理や、宴席料理まで収録されています。
『基礎の基礎』が調理の基本を扱う本だとすれば、『プロのための中国料理』は基本の先、より専門的な領域まで踏み込んだ一冊です。

フカヒレやツバメの巣なんて、家庭ではまず扱わない食材だろ。でも、こういう食材の扱い方を知っておくと、料理人としての引き出しは確実に増えるんだよ
僕自身は、宴席料理を専門にしていたわけではありません。それでも、こういう食材や料理があることを知っておくだけで、中国料理という世界の広さが見えてきます。
こちらは執筆時点で品切れ中ですが、柴田書店公式サイトでは再入荷のお知らせを受け付けています。気になる方は登録しておくと安心です。
2冊の違いと使い分け方

ここまで、2冊それぞれの特徴を紹介してきました。
改めて並べてみると、章立ての軸からレベル感まで、性格の違う2冊だと分かります。
| 1冊目:よくわかる中国料理基礎の基礎 | 2冊目:新版 プロのためのわかりやすい中国料理 | |
|---|---|---|
| 章立ての軸 | 調理法別(炒・炸・蒸など) | 料理ジャンル別(冷菜・炒菜・火鍋など) |
| 得意分野 | 広東料理・点心(Web上の評価による) | 広東料理を中心に、四川・上海など複数の地方料理 |
| レベル感 | 基本の動作から学べる、入り口の1冊 | 高級食材・宴席料理まで踏み込む、次のステップ |

どっちを先に読めばいいの?

順番に迷ったら、『基礎の基礎』から。基本の動作を押さえてから『プロのための中国料理』に進むと、専門用語や知識がすっと入ってくるよ

『基礎の基礎』は”型”を作る本、『プロのための中国料理』は”幅”を広げる本。そう考えると使い分けやすいんじゃないか
僕自身も、この2冊を対立するものとしてではなく、役割が違う2冊として使っています。
調理の仕組みを確認したいときは『基礎の基礎』を、専門用語や地方料理の知識を広げたいときは『プロのための中国料理』を開く。この使い分けが、いちばんしっくりきています。
現場で、実際にどう使っているか
ここからが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
僕は、この2冊を「読み物」としてではなく、確認作業の道具として使っています。使い方は大きく2つです。
調理の動きを、本で裏取りする

現場では、先輩の手元を見て体で覚えることがほとんどです。でも、なぜその動きをするのか、仕組みまで説明されることは多くありません。

見て覚えるって、けっこう大変そうだね

動きは覚えられても、意味は自分で埋めるしかないんだ。だからこそ、後から本で確認する作業が必要になるんだよ
この2冊を開くと、体で覚えた動きの意味が、言葉で説明されています。感覚で覚えたことを、文章で裏付ける。「中華出身の台所話」の記事を書くときにも、同じ確認作業をしています。

Web検索では出てこない、専門用語や読み方を確認する
もう1つの使い方が、専門用語や料理名の確認です。
「チャン」「ワイ」。こうした現場の言葉は、Web検索してもなかなか正確な情報にたどり着けません。
専門用語の読み方や料理名の由来は、Web上の情報だけでは裏付けが取りにくいものが多いです。この2冊は、そうした確認の手がかりになっています。

本に書いてあることが全部正しいとは限らないけどな。それでも、根拠のない情報より、はるかに信頼できるよ
この「中華出身の台所話」で専門用語を紹介するとき、この2冊で確認してから記事を書いています。
実際に、この2冊を裏取り資料として使った記事
- 切り方の名前と使い分けを確認
→ なぜ中華は切り方を揃えるのか。7種類の名前と火入れの関係を現役調理師が解説 - 鍋の基本動作(縦振り・横滑らせ・お玉押し)を確認
→ 中華鍋の振り方マスター|縦振り・横滑らせ・お玉押し、プロの3つの動作 - ザーレンの使い方を確認
→ ザーレン21cmを買って分かった。中華の油切り網(シャーレン)の選び方と使い方 - チャン(漿)という下味の技術を確認
→ 【肉の下味】中華の技「漿(チャン)」とは?肉を柔らかくするプロの基本 - ワイ(煨)・油通しという下ごしらえを確認
→ 家庭で本格的な油通しはできる。ホテル中華出身の調理師が「なぜ」から解説する - 水溶き片栗粉のとろみを確認
→ 水溶き片栗粉の黄金比は1:2|割合・作り方とダマ防止の入れ方を元中華料理人が解説
たとえば「ワイ(煨)」。僕のいた厨房では、多めの塩を入れた湯に食材をさっとくぐらせる下ごしらえを、こう呼んでいました。
ただ本来の「煨」は、弱火で長時間煮込む技法を指す言葉です。現場の呼び方と、本に書かれている意味。その両方を確認できたのも、この2冊があったからでした。
ここまで紹介したように、切り方からとろみまで、複数の記事がこの2冊を裏取り資料にしています。
専門学校の教材だけでは足りないと感じて買い足した本が、今もこうして記事作りを支えています。
買う前に知っておいてほしいこと
最後に、購入を検討する前に知っておいてほしいことをまとめます。
2冊とも、決して安い本ではありません


まずは価格です。
| 書籍 | 価格(執筆時点) | 入手性 |
|---|---|---|
| 『基礎の基礎』 | 6,160円(税込) | 柴田書店公式・Amazonともに在庫あり |
| 『プロのための中国料理』 | 5,280円(税込) | 柴田書店公式サイトでは品切れ中(再入荷待ち) |
※価格・在庫状況は執筆時点(2026年8月)のものです。購入前に最新情報をご確認ください。

2冊で1万円を超えるんだね……

一気に2冊そろえる必要はないよ
僕個人としては、まずは『基礎の基礎』から読むのがおすすめです。調理の基本的な仕組みを1冊で押さえられるので、最初の1冊として無理がありません。
『プロのための中国料理』は、『基礎の基礎』を読み終えて、もっと知りたくなったタイミングで検討すれば十分です。
実は僕が『基礎の基礎』を買った当時、定価は本体5,200円+税でした。今の価格と比べると、発売後に値上がりしていることが分かります。

専門書は、時間が経つと値上がりすることもあるからな。欲しいと思ったときが買いどきだよ
価格に見合う使い方は、仕組みと専門知識を学ぶこと


この金額を「高い」と感じるか、「妥当」と感じるかは、使い方次第です。
僕がこの2冊から得ているのは、レシピそのものよりも、仕組みと専門知識です。
なぜその工程が必要なのか。専門用語は何を指すのか。この2冊は、その部分を埋めてくれる資料です。
今日の献立を1品増やしたいだけなら、この2冊は正直、値段に見合いません。
でも、中華料理を体系的に理解したい。専門用語や仕組みまで踏み込みたい。そう思っている方には、価格以上の価値がある2冊だと、僕は思っています。
『基礎の基礎』が気になった方はこちらから購入できます。『プロのための中国料理』は柴田書店公式サイトで在庫状況をご確認ください。
柴田書店公式サイト(新版 プロのためのわかりやすい中国料理)
■ 本格中華を極める3つのロードマップ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
あなたの「もっと上達したい」に合わせて、3つの道を用意しました。
①【🎓理論】失敗しない理屈を学びたい
②【😋実践】プロの味を今すぐ再現したい
③【🔪道具】形から入って、料理の質を底上げする

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