中華鍋を買うとき、ザーレン(油切り網)も一緒に揃えようか迷いませんでしたか。
でも、いざ調べてみると、サイズが21cmから42cmまで幅広くある。何を基準に選べばいいのか、分からなくなります。
僕は中華出身で、今も現役の調理師です。現場では毎日、ザーレンを握ってきました。
家庭用に買うとき、サイズ選びで多くの人がつまずく理由が分かりました。鍋の大きさで選ぼうとするからです。実は、サイズはオイルポットの口径で決まります。
この記事では、ザーレンが本当に必要かどうかの正直な答えと、後悔しない選び方・使い方をお伝えします。読み終わったら、自分に合った一本が迷わず選べます。
ザーレンは、中華の仕上がりを変える相棒です。
ザーレン(炸鏈)とは?油切り網の正体

ザーレンという名前を聞いても、ぴんとこない方も多いと思います。でも、中華の厨房では当たり前のように使われている道具です。まず名前の意味と、何をする道具なのかを整理します。
「炸(揚げ物)」+「鏈(鎖の輪)」が語源
ザーレンを漢字で書くと、「炸鏈」です。
「炸」は揚げもの、「鏈」は鎖の輪が連なる様子を意味します。丸い網目が鎖の輪のように連なって見えることから、この名前がついたと言われています。
「シャーレン」とも呼ばれますが、読み方が違うだけで同じ道具を指します。どちらで検索しても、たどり着くのは同じものです。
「ザーレン」「シャーレン」は読み方の違いだけで、同じ道具です。商品名や通販サイトでも表記がばらつくため、どちらで検索しても問題ありません。

名前が2つあるのは紛らわしいね。どっちで検索すればいいの?

どっちでも出てくるよ。ただAmazonや楽天では『シャーレン』表記が多いかな。この記事では統一して『ザーレン』と呼んでいくね
油通し・油切りを一度にこなす道具

ザーレンを一言で言うと、巨大な穴あきお玉です。あるいは「平らな取っ手付きのザル」とイメージしてもらうと近いかもしれません。
網のように細かく穴が開いた椀状の部分に、長い柄がついています。中華の現場では、主に次の2つの場面で使います。
① 油通し後の食材を引き上げる
② お湯通し(煨:ワイ)後の水を切る
「煨(ワイ)」とは、多めの塩を入れたお湯に食材をくぐらせる下処理のことです。油通しと同じ要領で、ザーレンを使って水を切ります。

穴あきのお玉って、家にあるザルと何が違うの?

ザルは固定して使うけど、ザーレンは鍋の中でそのまま動かせる。柄の長さのおかげで、油の中にそのまま入れて使えるんだよ
一度に引き上げる強み
ザーレンの最大の強みは、食材を一気に引き上げられることです。
現場での使い方を説明します。油通しが終わったら、鍋を傾けてオイルポットの上にかざします。そのまま鍋ごと油を流し込む。油は下のポットに落ち、食材はザーレンの上に残ります。
こうすることで、全員が同じタイミングで油から上がる。「箸で一つずつ取り出す」と、最初の食材と最後の食材で、油の中にいた時間が変わってしまうからです。

鍋ごと流し込めば、全部の食材が同じタイミングで油から上がる。火の入りが揃う、それが仕上がりの差につながるんだよ

ちなみに、僕がこの段取りで使ってるのは山田工業所の鉄鍋なんです。空焼きから初回の炒飯まで正直に書いてるので、相棒選びの参考にしてみてくださいね。
山田工業所の中華鍋をプロ調理師が正直レビュー。30cmを選んだ理由と使い始めの話
ザーレンは家庭に必要?正直に答えます

中華鍋を揃えるタイミングで、「ザーレンも一緒に買うべきか」と迷う方は多いと思います。正直に答えます。
なくても中華は作れる。でも仕上がりが変わる
結論から言うと、ザーレンがなくても中華料理は作れます。
油通しとは、食材を高温の油にくぐらせて下処理する技法です。肉はしっとり、野菜はシャキッと仕上がりやすくなります。現場では当たり前のように使う工程ですが、家庭では油の量や後処理がネックになりがちです。
ザーレンを買う前の僕は、油通しの代わりに油を多めにしたフライパンで食材を軽く炒めて取り出す方法でやっていました。それでも十分おいしい料理はできます。
ただ、ザーレンを手に入れてからは、油通しをガッツリやるようになりました。食材をまとめて一気に引き上げられるので、段取りが変わったんです。仕上がりの食感に差が出るかどうかは、正直まだ使い始めて日が浅く、断言できません。ただ、調理の段取りがスムーズになったのは確かです。
ザーレンなしで油通しを代替する方法
・フライパンに多めの油を入れ、食材を軽く炒めて取り出す
こんな人にこそおすすめ
じゃあ、どんな人に買う価値があるのか。僕が思う基準を正直に書きます。
ザーレンが向いているのは、油通しを本格的にやってみたい人です。鍋ごと食材を流し込む段取りは、ザーレンがないとできません。「中華鍋・お玉・ザーレン」が揃うことで、厨房の一連の動きが家でもできるようになります。
まだ中華鍋を持っていない方は、まずここから揃えるのがおすすめです。最初の一本の選び方は、こちらで一緒に考えています。
▶もう迷わない中華鍋の選び方。現役調理師が”最初の1本”を一緒に選びます
それに、気分が上がります。道具が揃うと、自宅のコンロが中華の厨房に近づく感覚があります。これは使ってみないと分からない感覚ですが、僕にとってはそれだけで買ってよかったと思えた理由のひとつです。

気分が上がるって、それだけで買う理由になるの?

なるよ。道具が揃うと、料理に向かう姿勢が変わるんだよ。形から入ることで、本格的に作ろうっていう気になる
失敗しないザーレンの選び方
ザーレンを買う前に押さえておきたいポイントが3つあります。サイズ・オイルポットとの相性・素材です。順番に解説します。
サイズは鍋より一回り小さく(適合の目安表)

ザーレンのサイズ選びの基本は、鍋より一回り小さくすることです。
現場では30cm以上のザーレンが主流です。でも家庭の鍋は27〜30cmが多いので、鍋と同じサイズや大きいものを選ぶと扱いにくくなります。
目安として、以下を参考にしてください。
| 鍋のサイズ | ザーレンの目安サイズ |
|---|---|
| 27cm | 21〜24cm |
| 30cm | 24〜27cm |
| 33cm以上 | 27〜30cm |
ただし僕は30cmの鍋に21cmを使っています。理由はオイルポットとの口径相性を優先したからです。この選び方については、次で詳しく説明します。

現場は30cmが当たり前だけど、家庭の鍋に合わせると話が変わる。一回り小さく選ぶのが基本だよ
サイズはオイルポットの口径で決まる

ここが、この記事で一番伝えたいポイントです。
ザーレンは鍋のサイズだけで選ぶと失敗します。オイルポットの口径との相性が最重要です。
なぜかというと、ザーレンをオイルポットの上に「乗せる」使い方をするからです。ザーレンの直径がオイルポットの口径より小さいと、落ちてしまいます。大きすぎると不安定になります。ちょうど口径の上に乗るサイズが正解です。
僕が使っているオイルポットは口径19cm、ザーレンは21cm。これがちょうど乗るサイズです。

ザーレンとオイルポット、どっちを先に買えばいいの?

どっちが先でもいいよ。大事なのは、2つのサイズの相性を確認してから買うこと。ザーレンの直径がオイルポットの口径より少し大きくなるように合わせるのが正解だよ
僕が使っている組み合わせを紹介します。ザーレンは山田工業所の鉄製21cm。オイルポットはTicaotのステンレス2.8L、口径19cmです。この2つがちょうど乗るサイズ。買うときは、必ず口径とザーレンの直径を見比べてくださいね。
鉄かステンレスか
素材は主に鉄とステンレスの2択です。
僕が選んだのは山田工業所の鉄製です。理由は中華鍋・お玉と同じ素材で揃えたかったから。鉄は油馴染みがよく、使い込むほどに育っていきます。「道具を育てる」という感覚を、ザーレンでも楽しみたかったんです。

ステンレスはサビに強く、手入れが楽です。鉄ほど油のなじみは出ませんが、実用面では申し分ありません。
鍋・お玉・ザーレンを同じ鉄で揃えると、手入れのやり方も同じでいいので楽なんです。お玉のサイズや素材の選び方は、こちらで詳しく解説しています。
▶そのお玉、デカすぎない?家庭用「中華お玉」の選び方|プロが教える最適なサイズと素材
鉄:
油馴染みがよく、使うほど育つ。中華鍋・お玉と揃えて育てたい人向け
ステンレス:
サビに強く、手入れが楽。実用重視の人向け

「鉄で揃えたい」と決めた方は、こちらが僕の使っている一本です。中華鍋・お玉と並べると、道具に統一感が出ますよ。
ザーレンの使い方|油通しでプロの食感に
選び方の次は、実際の使い方です。ザーレンが最も活きる場面は油通しです。現場でどう使っているか、順を追って説明します。
油通しがなぜ食感を変えるのか

油通しとは、食材を高温の油に短時間くぐらせる下処理です。
肉は表面が一気に固まってうまみを逃がしにくく、野菜は短時間で火が通りシャキッとした食感に仕上がります。現場でも毎日やっていた技法ですが、家でザーレンを揃えてからオイスターソース炒めや青椒肉絲を作ったとき、その差をあらためて実感しました。食感・香り・味がお店で食べているようで、妻も子どもたちも喜んでくれました。
家庭で油通しが敬遠される理由は、油の量です。食材が泳ぐほどの量が必要で、後処理も手間がかかります。ザーレンとオイルポットを揃えると、この後処理の段取りが一気に変わります。

油通しって、油をたくさん使うから後処理が大変そうで踏み出せなかったんだよね

オイルポットがあれば、使った油をそのまま戻して保管できるよ。ザーレンと合わせて揃えると、その段取りがすごく楽になるんだ
鍋ごとオイルポットに流し込む
現場での油通しの段取りはこうです。
まず、オイルポットをコンロの隣に置き、その上にザーレンをセットします。
中華鍋に多めの油を入れて熱し、食材を入れます。白い煙がうっすら立ち、油の表面がサラッと動き始めたら適温のサインです。
食材を入れたらさっと火を通し、鍋を傾けてオイルポットの上にかざします。そのまま鍋ごと油を流し込む。油はポットに落ち、食材だけがザーレンの上に残ります。

鍋ごと流し込むから、全部の食材が同じタイミングで油から上がる。一つずつ取り出すと、最初と最後で火の入り方がズレてくるんだよ

現場では鍋ごといくけど、家ではすくうだけで大丈夫。熱い油を動かすのは、慣れてからでいいよ
- STEP1オイルポットの上にザーレンをセットする
- STEP2中華鍋に多めの油を入れて熱する
- STEP3食材を入れ、さっと火を通す
- STEP4鍋を傾けてオイルポットの上にかざし、油ごと流し込む
- STEP5油はポットへ、食材はザーレンの上に残る
この一連の流れを、動画で撮りました。鍋ごと流し込む動きは、文章より見たほうが早いです。
鍋ごと持ち上げるのが重くて不安な場合は、ザーレンで食材をすくって引き上げてもかまいません。段取りより安全を優先してください。
オイルポットに戻した油は、何回まで使えるのか気になりますよね。回数ではなく状態で見極めるのがプロの判断です。油の管理と交換のサインは、こちらでまとめています。
揚げ油の再利用、何回まで使える?プロが教える管理・保存・交換の判断基準
油の量が不安なら「煨(ワイ)」で代用
油通しに使う油の量が気になる方には、煨(ワイ)という選択肢があります。
煨とは、多めの塩を入れたお湯に食材をくぐらせる下処理です。油は一切使いません。僕がいた広東料理の厨房では、野菜の下処理に日常的に使っていました。油通しとは別の技法で、代替というより用途が異なります。肉には油通し、野菜には煨、という使い分けをしていました。
煨の後もザーレンを使って水を切ります。ただし、お湯なのでオイルポットにはセットしません。ボウルや鍋の上にザーレンを置いて水を切ります。
煨(ワイ)について
本来「煨」は長時間煮込む技法ですが、僕のいた厨房では「多めの塩を入れたお湯でサッと下茹でする」工程をこう呼んでいました。この記事でも現場の呼び方をそのまま使っています。
ザーレンの手入れは難しくない
中華鍋や鉄お玉と同じで、鉄ザーレンも使い始めに少し手をかけるだけで、あとは楽に付き合えます。
鉄ザーレンの使い始め(空焼きした話)
鉄製のザーレンを買ったら、中華鍋と同じように空焼きが必要です。
新品の鉄道具には、流通中のサビを防ぐための防錆処理が施されています。これを高温で焼き切るのが空焼きです。
「ザルだから不要では?」という意見もあります。でも僕は中華鍋・鉄お玉と同じ要領で空焼きしました。穴が開いていても鉄は鉄。中華鍋ほど時間はかからず、煙が出なくなって色が変わったのを確認して、僕は4分ほどで切り上げました。
防錆処理が残ったまま油にくぐらせると、臭いが気になる可能性があります。
実際の空焼きを動画に撮りました。煙が止まり、色が変わったのを見て切り上げています。

穴だらけのザルでも空焼きするの?なんか意外だね

鉄は鉄だからね。中華鍋もお玉もザーレンも、同じ素材なら同じ扱いでいいと思ってる。揃えて育てる、その感覚が好きなんだよ
鉄道具の空焼きは、煙の出方や色の変化など、初めてだと迷う場面が多いです。手順を写真つきで詳しくまとめたので、ザーレンの空焼き前にこちらを読んでおくと安心ですよ。
▼ 空焼き・油慣らしの正しい手順はこちら ▼
中華鍋の育て方。使い始めの空焼きから、洗い方・焦げ付き対処まで
普段はお湯とササラでOK

日常の手入れはシンプルです。お湯とササラで洗って、火にかけて乾かす。これだけです。
穴がたくさん開いているので、汚れはむしろ落としやすい。油が詰まりやすい箇所もなく、中華鍋より手入れは楽だと感じています。
洗い終えたら必ず火にかけて水分を飛ばします。濡れたまま置くとサビの原因になります。鍋肌に水分がなくなり、ジュッという音が消えたら完了のサインです。

鉄の道具は乾燥が命だよ。洗ったらすぐ火にかける。これを習慣にしておけば、サビとは無縁でいられるよ
- お湯とササラで洗う
- 火にかけて水分を完全に飛ばす
- 冷めたら薄く油を塗って保管(使い始めのうち)
ササラは、竹を束ねた鉄道具専用の洗浄ブラシです。スポンジと違って油膜を削りすぎず、洗剤なしで汚れが落ちます。鉄ザーレンや中華鍋を買うなら、一緒に揃えておくと便利ですよ。
まとめ|中華の仕上がりを変える相棒
ザーレンは、なくても中華は作れます。でも、揃えると段取りが変わります。
油通しをガッツリやるようになった。鍋ごと流し込む一連の動きが、自宅のキッチンでできるようになった。妻も子どもたちも喜んでくれた。そのひとつひとつが、買ってよかったと思える理由です。
この記事のまとめ
- ザーレンとはオイルポットとセットで使う巨大な穴あきお玉
- サイズはザーレンの直径がオイルポットの口径より少し大きくなるよう合わせる
- 素材は鉄かステンレス。鍋・お玉と揃えて育てたいなら鉄
- 油通しは食感と香りを変える。鍋ごと流し込むのが現場の段取り
- 手入れはお湯とササラで洗って、火で乾かすだけ
最後にもう一度、僕の使っている組み合わせを置いておきます。ザーレンとオイルポットは、口径の相性さえ合えば長く付き合える相棒になりますよ。

道具が揃うと、なんか自分がプロになった気がするね

気分が上がると、料理に向かう姿勢が変わる。そこから仕上がりも変わっていくんだよ
■ 本格中華を極める3つのロードマップ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
あなたの「もっと上達したい」に合わせて、3つの道を用意しました。
①【🎓理論】失敗しない理屈を学びたい
②【😋実践】プロの味を今すぐ再現したい
③【🔪道具】形から入って、料理の質を底上げする




コメント